妊娠中に関するコラム

卵管造影検査とはどんな検査?メリットやデメリットは?

「卵管造影検査」という検査を聞いたことがあるでしょうか。造影剤を使用して、卵管の状態を調べる検査のことです。不妊治療に通われている方にはよく知られている検査かもしれませんね。“卵管造影検査は痛い”というイメージを持たれることが多いですが、この検査にはきちんと目的とメリットがあります。そこで今回は、卵管造影検査とはどんな検査なのか、詳しくご紹介。気になる痛みについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。

子宮卵管造影検査とは?

卵管造影検査の正式名称は「子宮卵管造影検査」。不妊症の基本検査のひとつで、レントゲン室で行う検査です。

検査は子宮の入口である子宮頸管から子宮、卵管へと造影剤を流して行われ、子宮の形や卵管の通過性、卵管の周りの異常を調べます。

自然妊娠において「卵管」は卵子と精子が出会うための唯一の経路です。この卵管に異常があると、妊娠率の低下に繋がってしまうことも。また、子宮の異常も妊娠に影響します。しかしこれらの異常には自覚症状がないものもあるため、検査しなければ気付かないこともあるんです。

子宮卵管造影検査によって卵管や子宮の状態を詳しく調べることで、異常を発見でき、今後の妊娠計画も立てやすくなります。

子宮卵管造影検査でわかること

子宮卵管造影検査でわかることは次の通りです。

・子宮の形の異常(単角子宮・双角子宮など)

・子宮内腔の異常(子宮内膜ポリープ・子宮内腔の癒着・子宮粘膜下の筋腫)

・卵管の通過性(詰まりの有無・どの辺りが詰まっているのか・走行に異常はないか)

・卵管周囲の癒着 など

子宮卵管造影検査が受けられる対象は?

検査には受けられる期間が決まっていて、「生理が終了する7日目(生理終了後)~排卵前の10日目頃まで」です。なお、検査が終了するまでは避妊する必要があります。

卵管造影検査後の性行為はいつからしてもOKとは明確には決まっていませんが、基本的には検査終了後は通常の夫婦生活に戻って良いと考えて構いません。気になる場合は、検査時に確認すると安心ですね。なお、検査後には少量の出血がみられる場合があります。検査後の出血が気になったり痛みがあったりする場合は性行為を控え、受検先に早めに相談してくださいね。

また、次のような方は受検できないため注意しましょう。

・ヨードアレルギーや重篤な甲状腺疾患のある方

・妊娠の可能性がある方

・1年以内に子宮頸部のクラミジア抗原検査を受けていない方

子宮卵管造影検査後は妊娠率が上がるって本当?検査のメリット

ここでは、子宮卵管造影検査のメリットについて見ていきましょう。

卵管の状態がわかり、治療方針が決定しやすくなる

子宮卵管造影検査を行うと卵管や子宮の状態が詳細に分かるため、今後のスケジュールが立てやすくなります。もし子宮卵管造影検査で卵管が詰まっていたら、どのように治療を行っていくのか、いつから治療をスタートするのかなど、治療方針もより明確になるでしょう。

検査後は妊娠率にも影響が?

子宮卵管造影検査のメリットの1つとして、妊娠率が上昇しやすいという点が挙げられます。検査後の3カ月~半年は妊娠率がUPする可能性が高いといわれており、できるだけ多く仲良しのタイミングをとるのがおすすめです。

ただし医学的根拠は少ないため、「妊娠したいから子宮卵管造影検査だけしたい」と受検することは避けてください。

子宮卵管造影検査は痛いって聞いた…検査のデメリット

続いては、子宮卵管造影検査のデメリットを見ていきましょう。痛みについてもまとめていますよ。

検査時に痛みを伴う

子宮卵管造影検査によく持たれるイメージにもあるとおり、検査時に痛みを感じる方はいます。子宮内にチューブを固定するときや、造影剤注入時に痛みを伴うことがあるようです。ただし痛みの感じ方には個人差があり、生理痛に似ているといわれることも。

どうしても痛みに不安がある場合は、子宮卵管造影検査前に痛み止めを処方してくれるクリニックもあります。また、通常の子宮卵管造影検査は麻酔なしで行いますが、麻酔ありで検査を行っているクリニックもあるため、検討してみると良いですね。

造影剤の副作用や合併症など

子宮卵管造影検査に限らず、検査にはリスクを伴う場合が少なくありません。子宮卵管造影検査でも副作用や合併症の可能性があるため、受検前には必ず確認し、理解しておくことが大切です。

副作用と合併症

検査後の副作用としては、発疹・急性のショック・むくみ・肝機能障害などの可能性があります。

卵管はお腹と繋がっているため、卵管や子宮に有害な菌を保有している場合、造影剤を流すことでお腹の中に菌が拡がって腹膜炎を起こしてしまう可能性も…。頻度としては低いですが、子宮内膜症やクラミジア感染のある方は注意が必要です。

すべての副作用や合併症が対象というわけではありませんが、検査前後に、予防的に抗生物質を処方しているクリニックもあります。処方薬の影響で子宮卵管造影検査後に眼の調節障害が起こることがあるため、車を運転しての来院はしない方がいいでしょう。

造影剤の影響

造影剤には、水溶性造影剤と油性造影剤の2種類があります。水溶性の場合、造影剤はお腹で吸収されて尿から排出されるため、体内に残ることはありません。検査後すぐに妊娠しても赤ちゃんへの影響はないそうです。

一方で油性造影剤の場合はすぐにお腹で吸収されないため、半年~1年ほどは体内に残ることに。悪影響はありませんが、もしレントゲンやCTなどを撮る機会があれば、造影剤が写り、他の臓器が見づらくなってしまうことがあります。

子宮卵管造影検査はどこで受けられる?

子宮卵管造影検査は、不妊治療を行っている専門クリニックや産婦人科などで受けられます。検査で必要なレントゲン設備があることが大前提ですが、医療機関や医師によっては検査設備が整っていても受診すればすぐに検査、とならない場合もあるようです。

例えば、診察の結果を踏まえて医師が判断したときのみ子宮卵管造影検査行うという方針や、まずはタイミング療法を行い、それでも妊娠に繋がらなかった場合に行うなど。多くはありませんが、患者側から子宮卵管造影検査について聞いて、初めて案内を受けられたというケースもあるようです。

このように、子宮卵管造影検査についての扱いは医療機関や医師の方針によって変わってきます。ご自身や夫婦の希望に沿って進められるかどうか、受診先選びは慎重に行う必要があります。

なお、子宮卵管造影検査は保険診療が適用となる場合もあり、費用は5,000円程度が目安です(医療機関などによる)。検査時間もそこまでかからず、検査後に安静が必要とされるわけではないため、半日ほどの予定で見ておけば良いでしょう。

子宮卵管造影検査でよりスムーズな妊娠に繋げよう

子宮卵管造影検査は痛いというイメージが先行しがちですが、今回ご紹介したようにメリットも大きい検査です。自分の身体の状態を知ることは、卵管や子宮に限らず大切なことでもあります。妊娠に悩んでいる場合や、クリニックで子宮卵管造影検査について提案を受けた場合は前向きにとらえ、受検を検討してみてはいかがでしょうか。リスクは伴いますが、今後の妊娠計画が大きく前進する一歩にもなるはずです。

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