妊娠中に関するコラム

妊娠初期にはどんな体調の変化が起こる?注意点や体験談もご紹介

妊娠初期は、赤ちゃんの脳や心臓などがつくられる大切な時期。この時期は、ホルモンの影響によってママの体調も大きく変化します。ここでは、妊娠初期に現れる体調の変化やその理由、妊娠初期に気をつけたいことについてまとめました。妊娠初期症状を乗り越えたママの体験談もご紹介していますので、チェックしてくださいね。

妊娠初期の症状が現れる時期と理由

妊娠初期症状は、いつごろから現れるのでしょうか。症状が始まる時期とその理由についてご説明していきます。

妊娠初期っていつからいつまで?

妊娠期間は、初期(妊娠1~4ヶ月)、中期(妊娠5~7ヶ月)、後期(妊娠8~10ヶ月)の3つに分けられます。妊娠初期にあたる妊娠1~4ヶ月を週数で表すと、妊娠0~15週。そのなかでも、妊娠0~3週ごろまでを「妊娠超初期」と呼ぶこともあります。医学的な用語ではありませんが、一般的に使われている言葉です。

妊娠初期症状はいつから起こる?

妊娠初期症状が性行為後いつから現れるのか、気になる方も多いでしょう。

妊娠初期症状が始まるのは、一般的に妊娠3~5週です。妊娠週数は最終の月経開始日を0週0日として計算するため、性行為により受精が起こる時期は妊娠2週、受精卵が子宮内膜に着床する時期は妊娠3週。妊娠初期症状は、受精卵が着床して妊娠が成立したときに現われ始めます。

妊娠初期症状が現れる理由

妊娠初期症状には、hCGホルモン・卵胞ホルモン・黄体ホルモンの主に3つが関係しています。これらは、妊娠することで多く分泌されるホルモンです。3つのホルモンの作用についてご説明します。

【hCGホルモン(ヒト絨毛ゴナドトロピン)】

受精卵が着床すると、そこから絨毛(じゅうもう:突出した細かい突起のこと)が発生し、赤ちゃんを育てるための胎盤をつくります。この胎盤から分泌されるものが、hCGホルモンです。

hCGホルモンの分泌量のピークは、妊娠8~12週。妊娠検査薬では、尿中のhCGホルモンを調べます。

【卵胞ホルモン(エストロゲン)】

卵胞ホルモンには、子宮内膜を厚くしたり、子宮への血流を増やしたりする働きがあります。着床時だけでなく、赤ちゃんが発育するときにも重要な役割をもつホルモンです。妊娠前~妊娠7週までは卵巣から、そして妊娠8週以降になると胎盤から分泌されます。

卵胞ホルモンの分泌量が最大になるのは、分娩開始前。この時期になると、子宮口をやわらかくし、さらに子宮収縮作用のあるオキシトシンの分泌をうながします。

【黄体ホルモン(プロゲステロン)】

黄体ホルモンは、子宮内膜をふかふかの状態にして受精卵が着床するのをサポートするだけでなく、着床後も子宮内膜を厚く保ってくれます。血管拡張作用があり、体温の上昇や乳腺の発達などと深く関係していることも特徴です。妊娠すると基礎体温が高い状態が続くのは、黄体ホルモンの働きによるもの。

黄体ホルモンは、妊娠8~9ヶ月にピークとなり、その後低下していきます。

妊娠初期に起こる症状

妊娠初期に見られる代表的な症状を挙げました。

その1:月経(生理)の遅れ

妊娠すると、子宮内膜がはがれないため、月経がきません。周期が規則的な方の場合は、1週間遅れていれば妊娠の可能性があります。妊娠検査薬で確認して、陽性であれば受診しましょう。

その2:微熱が続く

黄体ホルモンの影響により、体温が37℃近くまで上昇します。体のほてりや熱っぽい感じが自覚症状です。基礎体温表をつけている場合は、月経の予定日を過ぎても高温期が続くのが確認できるようになります。

その3:着床出血がある

着床出血とは、着床時に起こる出血のこと。出血が起こるのは妊娠4週目、続く期間は1~2日程度と月経時より短いことが特徴です。着床出血は必ずしも起こるものではないため、出血がなくても心配いりません。

その4:おりものの量が増える・色が変わる

妊娠すると、乳白色の水っぽいおりものに変わります。量も増えるため、変化に気づく方が多いでしょう。おりものシートを使用するなどして清潔に保つことが大切です。

その5:お腹の張りや痛み

妊娠初期のお腹の張りの多くは、妊娠により子宮が大きくなることで起こります。張りの感じ方は、お腹全体が引っ張られている、チクチクとした痛みがある、ムズムズとした違和感があるなどさまざまです。また、黄体ホルモンの影響で便秘になり、お腹の張りを感じる方もいます。

注意したいのは、1時間に何回も強い張りを感じる、休んでも張りや痛みが落ち着かない、出血を伴うなどの場合です。切迫流産の可能性もあるため、かかりつけの医療機関に連絡しましょう。

その6:頭痛の症状がある

頭痛の原因となるのは主に、血管を拡張する作用のある黄体ホルモン。このホルモンの働きによって、片頭痛が起きやすくなるのです。痛みがつらい場合には、妊娠中でも内服できる薬を処方してもらいましょう。

その7:胸の張り・痛み

胸の張りも、黄体ホルモンによる症状です。母乳をつくるための乳腺は、黄体ホルモンの分泌が増えることで発達します。ママの体は、妊娠初期から赤ちゃんのために母乳をつくる準備をしているのです。

その8:つわり症状が出る

一般的につわりが始まるのは妊娠5週前後、落ち着くのは妊娠12~16週前後。しかし個人差が大きく、妊娠後期になってから始まる方や、妊娠期間を通してつわりを経験する方もいます。つわりの種類についてまとめました。

【つわりの種類】

吐きづわり:食べると嘔吐してしまう

食べづわり:お腹がすくと吐き気をもよおす

においつわり:においに敏感になり、気分が悪くなる

よだれつわり:よだれが多くなる

つわりが重症化した「妊娠悪阻」の場合、脱水症状や栄養失調の重症化を防ぐため、入院や点滴での治療が必要となることがあります。

その9:だるさ・眠気がある

黄体ホルモンは、だるさや眠気も引き起こします。眠気は「眠気つわり」として、つわりの一種とされることも。だるさや眠気を感じるときは、無理せずゆったりと過ごすといいですよ。

その10:情緒が安定しない

黄体ホルモンは、精神面への影響もあります。イライラする、怒りっぽくなる、わけもなく悲しくなるなどの症状がある場合は、できるだけリラックスすること、気分転換することが大切です。

その11:頻尿になる

頻尿も、黄体ホルモンによるもの。膀胱の周りの筋肉を緩ませる作用があります。水分摂取や排尿を我慢すると、膀胱炎になることもあるため注意が必要です。

その12:めまい・立ちくらみ

めまいや立ちくらみの主な原因は、ホルモンバランスの変化です。また、つわりにより水分摂取がしっかりとできずに脱水傾向にある場合にも、めまいが起こりやすくなります。めまいや立ちくらみがあるときは無理をせずに座る、または横になって休むようにしてくださいね。

その13:むくみが見られる

むくみも妊娠初期に見られる症状のひとつ。その理由は、妊娠を維持するために、黄体ホルモンが体のなかに水分をため込もうとするからです。そのため、妊娠初期に限らず多くの方がむくみを経験しています。

妊娠初期に気をつけること

妊娠初期は、赤ちゃんの心臓や脳などが形成されていく大切な時期です。ここでは妊娠初期の注意点をまとめました。

アルコールやカフェインの摂取を控える

アルコールは、赤ちゃんの脳の発育を阻害する可能性があります。カフェインは摂りすぎる

と、貧血になるだけでなく赤ちゃんの低体重のリスクも。そのため、飲酒しないこと、カフェインを摂りすぎないことが大切です。コーヒーや紅茶をよく飲む方は、カフェインレスのものを選ぶといいでしょう。

喫煙を控える・禁煙をする

たばこには、血管収縮作用をもつニコチンが含まれます。血管収縮により懸念されるのは、赤ちゃんに酸素や栄養が届かなくなること。喫煙することで、流産や早産、低出生体重児のリスクが上がります。現在たばこを吸っている方は、禁煙しましょう。

激しい運動を避ける

妊娠初期に避けたいのは、大きくジャンプしたりお腹を圧迫したりする運動。ランニングなどの心拍数が大きく上がる運動も、ママの体への負担が大きくなります。激しい運動は流産につながることもあるため、体への負担が少ないウォーキングやヨガなどがおすすめです。

感染症の予防を心がける

妊娠中は免疫力が下がり、さまざまな感染症にかかりやすくなります。妊娠前には軽い風邪症状のみで済んだものであっても、妊娠中は重症化しやすいため注意しましょう。冬季であれば、インフルエンザワクチンの接種をしておくことが大切です。

薬の服用は医師に相談を

市販の薬を自己判断で飲むことはやめましょう。薬の種類によっては、赤ちゃんに影響が出る場合もあるからです。薬を飲む前に、医師に相談することが必要となります。

妊娠初期症状を乗り越えたママたちの体験談

妊娠初期症状を経験したママたちのエピソードをご紹介します。

【エピソード1】

妊娠初期はつわりやめまいがひどくて、体調不良で仕事を休むことが増えました。私の場合は吐きづわりだったので、14週くらいまでは頻繁に吐いていた記憶があります。気持ちも不安定で夫によく八つ当たりしていて、最初のころは夫婦仲がギクシャクしてしまったことも。妊娠初期症状をあらかじめチェックして、夫と共有しておけばよかったなと思います。

【エピソード2】

もともと生理不順があり、はっきりとした妊娠初期症状もなかったため、妊娠に気づいたのは8週でした。しかし、思い返せば胃の調子が悪かったですし、頭痛に悩まされた日もあったと思います。妊娠に気づいたのが遅かったので、「やってはいけない姿勢をしていたかも」とか、「薬を飲んでしまったかも」などと不安になりました。また、もともとたばこを吸っていたのですが、喫煙が流産しやすい行動だと知ってとても怖かったです。病院で先生に相談して、たばこをすぐにやめました。

【エピソード3】

妊娠超初期にあたる妊娠3週からつわり症状がありましたが、思い込みかもしれないとそれほど気にしていませんでした。しかし、5週に入ったところでつわりが本格化。よだれつわりがひどく、ペットボトルを持ち歩いて吐き出していました。つわりがおさまる時期を心待ちにしていましたが、結局おさまったのは出産後。ほかにも漠然とした不安があり、わけもわからず泣くことが多かったです。

妊娠がわかったら早めに病院を受診しよう

ご紹介した妊娠初期症状があれば、正常妊娠というわけではありません。子宮外妊娠(卵管などの子宮外で妊娠が成立すること)であったり、妊娠悪阻になったりする可能性もあるからです。体調の変化に気づいたら妊娠検査薬でチェックして、できるだけ早く病院を受診することが大切。妊娠初期は心も体も敏感な時期なので、無理せずゆったりと過ごせるといいですね。

Pagetop