妊娠中に関するコラム

13トリソミーと18トリソミーとは?ダウン症と並ぶ染色体疾患を知ろう

NIPT(新型出生前診断)の対象となっている3つのトリソミー。ダウン症候群(21トリソミー)はよく知られていますが、あとの2つのトリソミーはあまりご存じない方も多いと思います。そこで今回はこの2つのトリソミーに注目し、どのような症状か、また、特徴などをご紹介しましょう。

3つのトリソミー

NIPTで調べられる染色体疾患には、3つのトリソミーがあります。なかでも、よく知られているのがダウン症候群(21トリソミー)で、常染色体の21番染色体が通常より1本多く3本ある染色体疾患です。それ以外の2つ、比較的知名度の低いパトウ症候群(13トリソミー)とエドワーズ症候群(18トリソミー)も同じく染色体疾患。それぞれどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

13トリソミー/パトウ症候群とは

パトウ症候群こと13トリソミーの原因や特徴はどのようなものなのでしょうか。

13トリソミーってどうやって起こる?

13トリソミーは、13番染色体が通常より1本多く、3本ある染色体疾患です。染色体の数的異常ともいわれ、遺伝子の量的不均衡が起こることで症状が表れます。

起こる頻度としては、赤ちゃんの5,000~12,000人に1人の割合といわれており、なかでも高齢出産になるほど13トリソミーの可能性は高まります。

13トリソミーの特徴

13トリソミーの赤ちゃんは、ママのお腹のなかにいるときから体格が小柄な傾向があります。また、身体の形成に異常がみられ、口唇口蓋裂や小眼球症、虹彩コロボーマ、網膜異形成なども特徴です。難聴や手指の屈曲拘縮なども13トリソミーに多くみられるほか、約80%の赤ちゃんに先天性の心疾患などが認められています。

さらに、性別を問わず高確率で生殖器の異常が起こる傾向にあり、男の子では停留精巣と陰嚢異常、女の子では双角子宮などが起こりるようです。

18トリソミー/エドワーズ症候群とは

エドワーズ症候群こと18トリソミーの原因や特徴はどのようなものなのでしょうか。

18トリソミーってどうやって起こる?

18トリソミーは、18番染色体が通常より1本多く、3本ある染色体疾患です。多くは母親由来の染色体によるといわれていますが、原因は母親の自分だと責める必要はありません。

13トリソミーと同じく染色体の数的異常ともいわれ、遺伝子の量的不均衡が起こることで症状が表れます。

起こる頻度としては、赤ちゃんの3,500~8,500人に1人の割合といわれており、男女比では男:女=1:3の割合で、女の子に多くみられます。

18トリソミーの特徴

18トリソミーの赤ちゃんは身体的特徴を多く持っており、顔貌は頭が小さく、耳の形に異常がある場合が多数。また、手指の重なりや揺り椅子状の足、短い胸骨などもよくみられます。

先天性心疾患や合併症が多いのも特徴。心室中隔欠損や動脈狭窄症、肺高血圧や無呼吸発作など数多くの合併症を持って生まれてきます。

18トリソミーは形態異常を診るエコーでわかる場合も稀にあるようです。

13トリソミーや18トリソミーの赤ちゃんの予後

13トリソミーや18トリソミーには特徴などでも違いがみられますが、予後はどうなのでしょうか。

13トリソミーの予後

13トリソミーの赤ちゃんの約80%は症状が重く、生後1カ月を前に命を落としてしまいます。1年以上の生存割合も10%を切っているのが現状ですが、一方で1年を超えて生活している子どもも多くいるんですよ。例えば、13トリソミーで知られている朝陽くんは、2歳の誕生日を迎えたことが主治医によって書籍に綴られています。現在は、朝陽くんのようにNICU(新生児集中治療室)を退院し、自宅療養のケースも増えてきているようです。

寿命に関していうと、3つのトリソミーのなかでは最も平均寿命が短命ともいわれる13トリソミー。しかし、日本で報告されている13トリソミーの最高齢は20歳を超えています。欧米では30代という報告もあるようです。

18トリソミーの予後

18トリソミーの場合は、現在の医療では根本的な治療がないため、赤ちゃんの半数以上が生後1週間以内に命を落としてしまいます。1年以上の生存割合も10%未満です。18トリソミーは数多くの合併症がみられることから死因は限定されていません。しかし、先天性心疾患や消化器の狭窄によって内臓が奇形で生まれることから、出生後すぐに治療しなければならないことは確かです。なかでも無呼吸発作による呼吸不全が最多で、合併症としてみられる心疾患は90%以上です。

18トリソミーも最近ではNICUでの治療や積極的な心臓手術により、予後は改善の兆しがみられるようになっています。18トリソミーの平均寿命は男女ともに1歳未満ではありますが、6歳くらいまで延びてきているともいわれています。海外では18トリソミーのため1歳までもたないと言われていた赤ちゃんが、20歳を超えて生活していると伝えるニュースもありますよ。

その他のトリソミー

今回ご紹介した常染色体由来の13トリソミー、18トリソミー、そしてダウン症候群の21トリソミー以外に性染色体にも3つのトリソミーがあります。

クラインフェルター症候群(47XXY)、トリプルエックス症候群(47XXX)、XXY症候群(47XYY)の3つで、いずれもXまたはY染色体が1本多い染色体異常です。クラインフェルター症候群とXYY症候群は男の子特有で、トリプルエックス症候群(47XXX)は女の子特有。

13トリソミーなどの常染色体トリソミーに比べると症状は軽いのが特徴で、命に関わることはないようです。

NIPTとトリソミーの関係

NIPTで調べられる項目として、常染色体では21トリソミー、13トリソミー、18トリソミーの3つを対象としているクリニックが多いようです。常染色体のトリソミーはほかにもありますが、多くの場合は早いうちに流産してしまい、出生するケースは多くありません。そのほか、先ほどご紹介した性染色体のクラインフェルター症候群(47XXY)、トリプルエックス症候群(47XXX)、XXY症候群(47XYY)を調べられるクリニックもあります。

また、NIPTのほかにもトリソミーを調べられる検査はあります。

コンバインド検査や母体血清マーカーは、NIPTと同じく母子への検査リスクが低いのが特徴。しかし、コンバインド検査はダウン症候群と18トリソミーのみが対象、母体血清マーカーはダウン症候群と18トリソミー、開放性神経管奇形が対象となっています。13トリソミーも調べたい場合は、NIPTを選択するほうが良いでしょう。

なお、NIPTやコンバインド検査、母体血清マーカーは非確定的検査であり、確定診断は得られません。もしこれらの検査を受けた後に確定診断を知りたいという場合は、絨毛検査や羊水検査といった確定的検査を受ける必要があります。

高齢出産などのママの状態や、過去に先天性疾患の診断を経験したことなどから、最初から確定的検査を視野に入れる方もいます。いずれも赤ちゃんの状態を知り、今後について決めていく大きな判断材料となるため、専門家などを交えて受検を考えましょう。

赤ちゃんのトリソミーを知るにはNIPTもひとつの選択肢

トリソミーと診断された赤ちゃんの予後は明るくなってきていますが、トリソミーでない場合と比べるとまだまだ医療は追いついていません。後悔しないマタニティライフや将来を考えると、事前の情報収集は大切だといえるでしょう。

プレママクリニックでは常染色体の3つのトリソミーから検査対象を選べるプランと、性染色体など多くの項目を調べられるプランの2つのプランをご用意しています。どのトリソミーを調べるか、どこまで調べるべきか悩んだ場合はお気軽にご相談ください。

Pagetop