妊娠中に関するコラム

NIPTでわかることって何?エコー検査とはどう違う?

NIPT(新型出生前診断)は聞いたことがあるけれど、実際の検査では何がわかるのか詳しく知らない方は多いでしょう。また、エコー検査(超音波検査)との違いはご存じでしょうか?今回は、NIPTでわかることやわからないこと、エコー検査との違いについてご紹介してきます。NIPTについて詳しく知りたいご夫婦はもちろん、エコー検査でちょっと気になることがあって、出生前診断を受けるべきか迷われている方もぜひご覧ください。

NIPT(新型出生前診断)とは

まずは、NIPTの基本から確認していきます。

NIPTとは、「Non-Invasive Prenatal genetic Testing」の略で、出生前診断のひとつ。新型出生前診断、ニプトなどと呼ばれることもあります。

多くの場合、妊娠10週から受けられて、血液検査のみで受検できるため母子へのリスクは低いのが特徴です。

NIPTでわかること

NIPTは血液検査のみですが、わかることはたくさんあります。特に、以下のような染色体異常や遺伝子異常による先天性疾患の可能性、そして性別などを知ることができます。

【染色体異常症(異数性)】ダウン症候群(21トリソミー)

常染色体の数が通常より多いことで起こるもの。ダウン症は21番目の染色体が通常より1本多く3本見られるため、21トリソミーとも呼ばれます(トリは3を意味します)。

ダウン症の場合、精神の発達や運動の発達などに遅れが見られるようです。

【染色体異常症(異数性)】エドワーズ症候群(18トリソミー)

常染色体の数が通常より多いことで起こるもの。エドワーズ症候群は18番目の染色体が通常より1本多く3本見られるため、18トリソミーとも呼ばれます。

エドワーズ症候群の赤ちゃんは、先天性心疾患や肺疾患など、数多くの合併症を持って生まれてきます。しかし、現代の医療では根本的な治療方法がなく、生後1週間以内に命を落としてしまう赤ちゃんが半数以上です。生後1年まで生きられる確率は10%に満たないといわれています。

【色体異常症(異数性)】パトー症候群(13トリソミー)

常染色体の数が通常より多いことで起こるもの。パトー症候群は13番目の染色体が通常より1本多く3本見られるため、13トリソミーとも呼ばれます。

パトー症候群の場合、身体の形成に異常があったり、生殖器に異常が見られたりするケースが多数。症状が重く、約80%の赤ちゃんは生後1カ月を待たずして命を落としてしまいます。また、生後1年以上生きられる割合は、10%未満です。

【染色体異常症(異数性)】ターナー症候群(モノソミーX)

性別を決める性染色体の異常により起こるもの。通常女性において2本であるX染色体ののうち、1本の全体もしくは一部が欠失している状態で、モノソミーXやXモノソミーなどと呼ばれることもあります。

ターナー症候群は女性特有で、身長が低いことと性発達の遅れが見られます。適切な治療を受ければ、命にかかわる重篤な症状はありません。

【性染色体異常症(異数性)】トリプルX症候群(トリソミーX)

性別を決める性染色体の異常により起こるもので、通常女性において2本であるX染色体が1本多く、3本見られます。トリソミーXと呼ばれることもあります。

トリプルX症候群は女性特有のもので、症状に個人差があるのが特徴。症状が特に現れない人もいれば、健康や発達に影響が見られる人もいます。後者の場合は、心臓や腎臓に異常が見られたり、学習障害、音声や表現言語に遅れが見られたりするなど、症状もさまざまです。

【染色体異常症(異数性)】クラインフェルター症候群(XXY)

性別を決める性染色体の異常により起こるもので、通常の男性よりもX染色体が多く見られます。

クラインフェルター症候群は男性特有のもので、症状に個人差があるのが特徴。症状に気づかず日常生活を送っている人も多くいるようです。一般的には、余分なX染色体の数が多いほど知的障害や奇形の重症度が上がるといわれています。

【染色体異常症(異数性)】ヤコブ症候群(XYY)

性別を決める性染色体の異常により起こるもので、通常の男性よりもY 染色体が1本多く見られます。

ヤコブ症候群は男性特有のもので、身体的特徴や性的発達にもほとんど影響がないといわれているようです。ただし、学習障害やADHD(多動性障害)などのリスクは高い傾向に。一般的には症状は軽度なため、ヤコブ症候群と診断されないまま生涯を送る人もいます。

【遺伝子異常性(微小欠失症)】5つの症候群

特定の遺伝子が欠けること(欠失)などにより起こる先天性異常もあります。

ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群、DiGeorge症候群)

23本の常染色体のうち、22番染色体の一部に小さな欠失(微小欠失)が見られます。症状には個人差があり、気づかないまま過ごす人がいる一方で、免疫不全や先天性心疾患などさまざまです。

1p36欠失症候群

1番染色体の、テロメア領域という特定の領域を含む染色体の欠失が見られます。成長障害や重度の精神発達遅滞、難治性てんかんなどの症状が見られるようです。身体的特徴としては、落ちくぼんだ眼や尖った顎が挙げられます。

ウルフ・ヒルシュホーン症候群(4p欠失症候群)

4番染色体に欠失が見られます。多くの場合で発達遅延や知的遅延が認められますが、その程度は軽いものから重いものまであるようです。

クリ・デュ・チャット症候群(5p欠失症候群、猫鳴き症候群)

5番染色体に欠失が見られます。甲高い子猫に似た泣き声がするため、別名は猫鳴き症候群。多くの場合で中度から重度の発達遅延や知的遅延が認められるようです。

プラダー・ウィリー症候群(15q11欠失症候群)

15q11-q13の父性染色体に微細欠失が見られる、または15番染色体の母性片親性ダイソミーが見られます。症状としては、食欲中枢の異常によって食欲が抑制できず食べ続けてしまう、重度の言語障害、運動発達や精神発達の遅れなどです。

赤ちゃんの性別

NIPTは、先天性疾患だけでなく性別を知れるという側面も持っています。赤ちゃんの性別を確実に早く知りたい人には嬉しいですよね。

NIPTではわからないこと

ここまで多くの先天性疾患をご紹介してきましたが、NIPTはあくまでも非確定的検査であるため、各疾患の可能性を知るにとどまります。そのため、確定診断をすることはできません。NIPTで陰性だったのに実際は違ったということを避けたければ、羊水検査などの確定的検査を受ける必要があるのです。

また、出生前診断でわからない障害ももちろんあります。機能的な障害である視覚障害や聴覚障害などは、NIPTを含む出生前診断ではわかりません。

エコー検査でわかること・わからないこと

エコー検査といえば、妊婦健診でもおなじみの検査ですよね。また、ケースによっては胎児超音波スクリーニングと呼ばれる超音波検査を行う場合もあります。それぞれのわかること、わからないことも確認してみましょう。

妊婦健診の超音波検査でわかること

妊婦健診ではどの施設でも妊娠の周期によってみていく内容が決まっています。妊娠週数によって経腟法・経腹法が取られるのが一般的。施設によっては3Dエコー、4Dエコーと立体的に赤ちゃんの様子が見られる検査方法を取っている場合もあるようです。いずれの場合も、赤ちゃんの心拍や成長度合いを確認するほか、ママの子宮に異常がないかなどを調べます。

妊娠初期は経腟法のエコー検査で、赤ちゃんの数や大きさ、心拍の有無などを確認するのが基本。ママの子宮や卵巣なども確認し、双子や三つ子の有無や子宮外妊娠の可能性などもわかります。

妊娠12週に入る頃を境に経腹法に切り替わります。これまでどおり赤ちゃんの大きさなどの成長度合いを確認するほか、赤ちゃんの向きや胎盤の位置、羊水の量なども確認。逆子などもわかるようになってきます。

妊婦健診のエコー検査では赤ちゃんの成長度合いなどを確認するのが主な内容となるため、先天性異常がわかることは多くありません。

胎児スクリーニングでわかること

出生前検査ともいわれるエコー検査のことを、胎児スクリーニングといいます。通常の妊婦健診より精密に赤ちゃんに形の異常や構造の異常がないかを調べる検査です。

実施できる施設も限られており、受ける場合もママやご家族の希望によってのみ行います。

出生前診断となるため、妊婦健診のエコー検査とは別に自費診療となるのも特徴。もし異常が見つかった場合は確定診断にはならないため、必要に応じて精密検査を実施することもあります。

エコー検査と比較したNIPTのメリットとデメリット

では、前述のNIPTは、エコー検査と比べてどのようなメリットやデメリットがあるでしょうか。

メリット

出生前診断の中でも、NIPTのメリットは多く挙げられます。NIPTを実施する多くの施設で妊娠10週から受検でき、エコー検査よりもやや早く赤ちゃんの染色体異常などを知ることができます。また、年齢制限がないのもポイントです。検査方法は採血のみによって行われるため、母子に負担が少ないのも特徴。シンプルな検査方法で、多くの先天性疾患の可能性を知ることができます。

デメリット

NIPTは確定診断ではないため、確実な結果を知りたい場合は確定的検査を受けなければならい点はデメリットといえるでしょう。

また、NIPTは保険適用外になるため、すべて自費で賄わなければなりません。費用は施設や検査プランにもよりますが、5~10万円以上するケースが多く、経済的な負担が求められます。

妊婦健診は自治体の補助がある場合が多いため、エコー検査には費用負担がないことがほとんど。一方、胎児スクリーニングは自費で3~5万円程度です。これらと比較しても、NIPTの方が費用の負担が大きくなることがわかります。

エコー検査で悩んだらNIPTも検討しよう

妊婦健診でのエコー検査で何か気になる点があった場合は、詳しい検査も検討してみましょう。NIPTであれば高い確率で先天性異常の可能性を知ることができます。メリットの多い検査なので、あらかじめ可能性を知っておくことで、今後の見通しも立てやすくなりますよ。赤ちゃんについてどこまで調べるか迷った場合は、NIPTを実施している施設に相談してみましょう。プレママクリニックでも、NIPTには2つのプランをご案内しています。

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