妊娠中に関するコラム

妊娠には精子の質も大切?精子に悪影響な行動&質を上げるためにできること

妊娠や妊活と聞くと、何となく「女性に関わること」とイメージしがちではありませんか?妊娠は女性の卵子と男性の精子があってこそ成立するもの。「精子の質」は、じつは妊娠のしやすさが大きく左右されることをご存じでしょうか。日々の行動は精子の質にもつながっていて、妊娠を希望する女性が栄養や行動に気を付けるように、男性も気を付けておきたいことがあります。精子の質とは?そして、質を上げるためにできることは?順番に確認していきましょう。

精子は量ではなく質が大切

妊娠するためには、卵子を精子が出会う確率を上げる、つまり精子の量を増やすことが大切だと思っている方はいませんか?もちろん量も関係しますが、じつは妊娠のしやすさには精子の量よりも「精子の質」が大切。妊娠させるパワーのある精子こそが質の良い精子といわれているのです。

「妊娠させるパワーがある精子」とは、良い形をしていて運動率が高いものを指します。加えてDNAもしっかりとしており、精子に含まれるミトコンドリアの力も備わっていることも重要です。

WHOによって精子の基準も設けられており、妊娠のしやすさのひとつの指標となっています。精子の量など、平均値はどのくらいかの参考にしてくださいね。

<WHOによる精液検査の基準値>

・精液量:1.4cc

・精子濃度:1,600万/ml

・総精子数:3,900万

・運動率:42%

・前進運動率:30%

・生存率:54%

・正常形態率:4%

精子の質が落ちるって本当?原因は?

加齢により、卵子の質が落ちていくと聞いたことがある方もいるでしょう。同様に、精子も加齢やそのほかの要因によって質が低下していきます。精子の質を低下させてしまう原因は数多くありますが、ここでは主な5つをご紹介しましょう。

【精子の質が落ちる原因1】加齢

女性は30歳を境に卵子の質の低下などが原因で妊娠しにくくなっていくといわれています。これに比べると男性の精子の質の低下はゆるやかですが、35歳を過ぎると次第に質が低下。精子をつくる機能も下がっていきます。

【精子の質が落ちる原因2】タバコ・アルコール・カフェイン

タバコは、精子の数・密度・運動性・形態・精液の量すべてを悪化させるというデータがあります。加えて、タバコの主流煙は勃起不全(ED)の原因にもなります。

また、アルコールの摂取量によっては、精液の量を減らすことが判明。精子は量より質とはいうものの、精液自体が一定数より少ないと、いくら質が良くても妊娠しにくくなります。

ちなみに、妊活中の女性が控えるコーヒーなどは、男性も過剰に摂取しないほうがベターでしょう。

【精子の質が落ちる原因3】ストレス

ストレスは、精子の密度・前進運動性の低下や異常な精子形成の増加に影響を与える可能性があるといわれています。毎日仕事が忙しくてリフレッシュ時間も取れないなど、ストレスは溜まっていませんか?

【精子の質が落ちる原因4】不規則な生活

不規則な生活は男性ホルモンの環境を悪化させてしまい、精子に悪影響を与えます。また、栄養の偏った食事も精子の大敵です。

【精子の質が落ちる原因5】長期にわたる禁欲

「精子は量ではなく質が大切」の項でも述べましたが、精子は量よりも質が大切です。精子をためておこうと禁欲期間を長く設けると、かえって精子の質の低下を招いてしまいます。WHOによると、適切な禁欲期間は2~7日です。

ここでご紹介した原因は、いわゆる「男性不妊」につながる場合もあるので、妊娠を希望している男性は自分の生活習慣を振り返ってみてくださいね。なお、そもそも精子の量が少ない「乏精子症」や「無精子症」の場合は、精子の質以外が不妊に影響している場合があります。精液の見た目や男性器に違和感があれば、専門家に診てもらうようにしましょう。

妊活力を上げる!精子の質を上げるために男性がやるべきこと

知らず知らずのうちに精子の質を低下させてしまっていた…という方もいるでしょう。ここでは、精子の質を上げていくためにできることを考えていきましょう。チェックリストも設けているので、活用してくださいね。

<精子の質を上げるための行動>

□タバコ・アルコールを摂取しすぎない

□ストレスをため込まず、適度にリフレッシュする時間を作る

□規則正しい生活を心がける

□栄養バランスの良い食事を適切な時間に摂る

□適度な運動習慣を取り入れる

□長期間の禁欲はしない

□タイトな下着は着用しない ※

□膝上で長時間のPC作業を行わない ※

□長風呂やサウナは控える ※

□自転車は長時間運転しない ※

□「フィナステリド」を主成分とする育毛剤を使用しない ※

※の項目について、説明を加えていきます。

精子を作る精巣は熱に弱いため、下着は風通しがよく熱がこもりにくいトランクスがベター。ボクサーパンツを履いている方は、見直してみてくださいね。同様の理由から、膝上でのPC作業や長風呂、サウナもおすすめできません。習慣になっている方は他の方法を検討してみてください。長風呂やサウナがストレス発散になっている方は、別の趣味などで発散時間をとれると良いですね。

自転車通勤をしている方に注意してもらいたいのが、長時間の運転。サドルで男性器まわりの血流が滞りやすくなり、精子の減少運動率の低下やEDを招いてしまう場合があります。

そして、あまり知られていないのが一部の育毛剤の使用です。フィナステリドという成分が主成分となっている育毛剤は使用しないようにしましょう。男性ホルモンの作用を抑制し、精子数の減少、EDの原因になってしまうことがあります。とくにAGA(男性型脱毛症)で治療薬を処方されている方は確認してみてくださいね。

精子の質を上げる食事レシピ

栄養バランスの良い食事は、精子の質に関わらず、普段から気にかけたいものです。精子の質を上げるためには、どのようなメニューが良いのでしょうか。

精子の質を上げるために摂りたい栄養素「亜鉛」

精子の質を上げるために積極的に摂りたいのが「亜鉛」です。亜鉛は精子の運動率を上げるうえ、精子の形成自体や前立腺の働きにも関係します。食べ物で積極的に摂るようにしましょう。

もし亜鉛が不足してしまうと、精子のしっぽである「鞭毛(べんもう)」が正常に形成されません。しっぽの形成が不十分だと、卵子まで元気に到達することができないのです。精液として体外に出てからの精子の寿命は24時間ほど(膣に入ると寿命は2~3日延びます)。短時間で卵子まで到達するためには、正常な精子の形成は不可欠です。また、亜鉛不足は性欲も低下させてしまうんですよ。

亜鉛は女性ホルモンの生成や妊娠の維持などにも関係しています。細胞分裂や成長にも関わっているため、夫婦で一緒に摂ると良いでしょう。亜鉛を多く含む食材は次のようなものがありますので、ぜひ進んでメニューに取り入れてみてください。

<亜鉛を多く含む食材>

牡蠣・カニ(缶詰)・ホタテ貝柱・アサリ・鯖・鮭・うなぎ・牛肉(ヒレ・サーロイン・肩ロース・もも・レバー)・チーズ(カマンベール・パルメザン)・アーモンド・カシューナッツ など

ここからは亜鉛を摂りたいときにおすすめのメニューを紹介します。

鮭とホタテ貝柱のペペロンチーノ

亜鉛がたっぷり含まれた鮭とホタテの貝柱を使ったパスタです。女性が妊活中に積極的に摂りたい「鉄分」を多く含むほうれん草も使って、夫婦で妊娠力を上げてくださいね。

<材料>(2人分)

パスタ 160g

鮭の切り身 1切れ(100g)

ホタテの貝柱(刺身用) 150g

ほうれん草 2/3束(150g)

赤唐辛子 1本

にんにくスライス 1片分

オリーブオイル 大さじ1

塩・コショウ 適量

<作り方>

1.ホタテの貝柱はそぎ切りにして塩・コショウを振っておきます。

2.鮭は皮と骨を取り除き、ゆでた後に一口大にカット。こちらも塩・コショウを振っておきましょう。

3.ほうれん草はゆでて冷水にとり、約3cmの長さに切ります。

4.フライパンにオリーブオイル・にんにくスライス・赤唐辛子を入れて弱火で熱します。にんにくに色がついてきたら赤唐辛子と一緒に取り出してください。にんにくはキッチンペーパーの上に重ならないように広げて油を切っておきましょう。

5.4のフライパンに1・2を加え、それぞれ表面に焼き色をつけながら焼いていきます。

6.パスタはパッケージに記載のゆで時間より1分短くゆでてください。

7.5に6のパスタとゆで汁1/4カップ、3を加えて軽く炒めます。

8.お皿に盛り付け、4のにんにくを散らしたら完成です。

牡蠣のミルク煮

牡蠣にはたいへん多くの亜鉛が含まれています。シーズンには焼き牡蠣や鍋など、さまざまな調理方法で楽しんでみてくださいね。女性は赤ちゃんの骨の形成のために、妊娠前から

「カルシウム」も積極的にとりたいところ。牡蠣をミルク煮にして、亜鉛もカルシウムも摂って夫婦で妊活に備えましょう。

<材料>(2人分)

牡蠣 100g

ベーコン 15g

セロリ 1/2本(50g)

玉ねぎ 1/2個(100g)

にんじん 1/2本(90g)

大豆粉 大さじ1と1/2

イタリアンパセリ お好みで

塩・コショウ 適量

スープの素(顆粒) 小さじ1

水 2カップ

牛乳 1と1/2カップ

バター 大さじ3

<作り方>

1.牡蠣は片栗粉(材料外)を振ってもみ洗いし、水で軽く洗って水気を拭き取ります。

2.にんじんをラップで包み、電子レンジで1分ほど過熱して粗熱がとれたら約1cm厚さの輪切りにしましょう。

3.玉ねぎは4等分、セロリは4cmほどの長さに、ベーコンは3cm幅に切り分けます。

4.鍋でバターを大さじ1と1/2溶かしたら2・3を加えて炒めていきます。全体的にしんなりしたら残りのバターを加え、大豆粉を振り入れてよく炒めてください。

5.4に水、牛乳の順に2~3回に分けて入れます。加えるたびによく混ぜておきましょう。

6.5に1とスープの素を入れて混ぜながら加熱し、塩・コショウで味を調えます。お皿に盛り付け、お好みでイタリアンパセリをのせたら完成です。

妊娠には精子の質も大切!普段の生活を改めて妊娠力UP

妊娠には、夫婦の協力が不可欠です。質の高い卵子と精子が出会えれば妊娠の確率もアップするでしょう。男性は今回ご紹介したような精子に好ましくない生活習慣を見直すとともに、精子の質を上げる習慣を取り入れてみましょう。食事で夫婦ともに妊娠しやすい身体づくりに取り組むのもおすすめです。ぜひご夫婦で妊娠しやすい環境づくりに努めてみてくださいね。

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