妊娠中に関するコラム

2022年の不妊治療の保険適用がスタート! 対象となる年齢や回数の条件など徹底解説

2022年4月より不妊治療の保険適用が開始されたことをご存知でしょうか。今まで保険適用外だった不妊治療も対象となり、窓口での負担額が治療費の3割で済むようになりました。今回は、どこまでの治療が保険適用なのか、その条件や保険適用のメリットについてご紹介します。不妊治療をこれから考えている方や、不妊治療をステップアップする予定の方はぜひ参考にしてください。

不妊治療の定義とは?

まず、【不妊治療】についておさらいしていきましょう。

妊娠を希望する男女が避妊をせずに夫婦生活をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しない場合【不妊症】と定義します。不妊治療は、不妊症の原因を調べたり、原因に応じた薬物療法や手術を行ったりして妊娠をサポートすることです。

不妊治療はいくつか治療方法があり、段階的にステップアップします。いつからステップアップするかは、担当の医師と相談のうえで進めていくことになります。不妊治療をスタートして妊娠に至るまでは平均2~3年。5年以上と、長期にわたって治療する場合もあるようです。

不妊治療にはどんな治療があるの?

不妊治療はまず簡易的なものからスタートして、状況に応じて治療内容を変えながらステップアップするのが一般的です。不妊治療は大きく分けて4種類。一般不妊治療に分類される【タイミング法】と【人工授精】、高度生殖補助医療に分類される【体外受精】と【顕微授精】があります。

一般不妊治療

タイミング法

タイミング療法とは、ホルモン検査や超音波検査、血液検査などで排卵日を正確に予測して夫婦生活を行う方法です。排卵日に夫婦生活のタイミングを合わせることにより、妊娠確率を高めることができます。

人工授精

タイミング法ではなかなか妊娠が成立しない場合や、精子の状態を見てステップアップが必要だと判断した場合に人工授精を行います。人工授精は、排卵に合わせて、精子を子宮内へ直接送り込む方法。子宮内に注入されるのは、厳選された元気な精子です。

単身赴任などでタイミングを合わせることが難しいカップルは、精子を凍結保存して都合のいいときに人工授精を行う方法もあります。

高度生殖補助医療

体外受精+胚移植

体外受精では、卵子と精子を採取し、シャーレ上で卵子に精子を振りかけて自力で受精させます。受精卵を培養し、順調に成長した受精卵を子宮に戻して妊娠をサポートする方法です。不妊治療のステップとしては、この体外受精から【高度生殖補助医療】と呼ばれます。

体外受精で効果を実感しやすいのは、卵管に障害がある方や、精子の動きが悪く人工授精でも妊娠に至らない方です。卵子を採取するための卵巣刺激方法はいくつかあり、【自然周期法】や【クロミッド法】【アンタゴニスト法】【ロング法】【ショート法】などさまざま。 それぞれ採卵できる卵の数や副作用、金額が異なるので、医師と相談しながら希望の方法で進めていきます。

顕微授精+胚移植

顕微授精とは、顕微鏡下で細いガラス管を使用して卵子に精子を注入し、受精をサポートする方法です。

体外受精でも妊娠に至らない方や、精子の数が極端に少ないまたは精液内に精子がない方は顕微授精へステップアップします。

保険適用前の不妊治療の費用相場は?

保険適用前の不妊治療の費用相場はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省による「不妊治療の実態に関する調査研究(2020年度)」では、答えた方の約7割は10万円未満に抑えられているものの、高度生殖補助医療まで経験した人の半数以上が総額100万円を超えるという結果に。不妊治療にかかった金額の総額は人によって大きな差が出ました。中には、200万円以上かかってしまった方もいるようです。

ここで、各不妊治療1回あたりの費用の相場を見てみましょう。

・タイミング法(保険適用)…数千円~2万円

・人工授精(保険適用外)…1万円~3万円

・体外受精(保険適用外)…20万円~60万円

・顕微授精(保険適用外)…30万円~70万円

2022年3月までの助成金制度とは?

保険適用がスタートする以前には、【特定不妊治療費助成制度】があり、治療費が自己負担となっていた不妊治療の支援が行われていました。

助成の条件と費用は以下の通りです。

・助成額…1回あたり30万円

・助成回数…1子ごとに6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)

・対象年齢…女性の年齢が43歳未満

なお、良い卵子が採れずに治療を中止した場合や凍結保存した胚を移植する場合の助成金額は1回10万円と定められています。

不妊治療の保険適用の背景

2022年3月以前は、体外受精や顕微授精などの不妊治療は保険適用外(自由診療)とされてきたため、全額自己負担となっていました。

不妊治療にチャレンジしたい、不妊治療を継続したいと思っても、高額な費用がネックとなり諦めざるを得ない方々も多く存在していたのです。

この状況を打開し、子供を持ちたいという方々が安心して安全な不妊治療を受けられるようにと議論が重ねられた結果、ついに不妊治療の保険適用が実現しました。

不妊治療の保険適用の対象条件とは?

2022年4月から不妊治療が保険適用となり自己負担が軽くなることは、妊活中の方や不妊治療中の方にとって大きなメリットです。ただし、年齢制限や回数制限があるため、適用条件をしっかりと確認しておく必要があります。

適用となる治療法は?

不妊治療を考えている方にとって気になるのは、治療のどこまでが保険適用範囲となるかだと思います。2022年4月以降保険適用となったのは、関係学会のガイドラインで有効性・安全性が確認された基本治療すべてです。

【2022年4月から保険適用となった治療法はこちら】

・一般不妊治療…人工授精

・高度生殖補助医療…採卵採精、体外受精、顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植

※高度生殖補助医療については、上記以外に実施されるオプション治療についても、保険適用されるものや先進医療として保険と併用できるものがあります。

対象年齢

初めての治療開始時において、女性の年齢が43歳未満であることが条件です。

回数制限

回数制限は、治療期間の初日における女性の年齢が40歳未満、または40歳以上43歳未満かによって異なります。

・40歳未満:通算6回まで(1子ごとに)

・40歳以上43歳未満:通算3回まで(1子ごとに)

※原則、法律婚の夫婦が対象ですが、一部事実婚も対象となるため「女性」と表記しています。

保険適用によるメリット・デメリット

不妊治療が保険適用になったことによる、メリット・デメリットを紹介します。

保険適用によるメリット

基本的な不妊治療のほとんどが保険適用になるため、経済的な負担が軽くなります。また、経済的な理由により、治療を諦めざるを得なかった方も挑戦しやすくなり、前向きに子供を検討することができるでしょう。

保険適用によるデメリット

保険適用により、不妊治療が【標準治療】となるため、使用できる薬や回数、量などが制限されます。以前までは一人ひとりに合わせた治療方法をとることができた不妊治療ですが、制限範囲内での医療の提供となるので、妊娠率が低下する可能性も。

また、保険適用後には特定不妊治療助成金がなくなるので、2022年4月をまたいで治療を行う方は注意が必要です。

保険適用の要件を満たす方はクリニックへ相談を

高度生殖補助医療を含めた不妊治療が保険適用となったことで、不妊治療に対する経済的負担を感じていた方のハードルが大きく下がったのではないかと思います。卵子の質の低下や胎児の染色体異常の発生確率のことなどを考慮すると、不妊治療はなるべく早く開始されることが望まれます。保険適用の対象要件を満たす方は、ぜひクリニックに相談してみてくださいね。

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