妊娠中に関するコラム

ダウン症がわかる?「胎児ドック」って何?NIPTとの違いやメリット・デメリットをチェック

出生前診断のひとつである「胎児ドック」をご存知でしょうか?胎児ドックは妊婦健診で行う超音波検査に似ており、母子ともにリスクなく赤ちゃんの状態がわかる検査です。今回は胎児ドックでわかることや、メリット・デメリット、NIPTとの違いをご紹介します。胎児ドックが受けられるクリニックもいくつかピックアップしてみましたので、参考にしてみて下さい。

胎児ドックとは?

胎児ドックとは、非確定検査に分類される出生前診断のひとつ。胎児ドックは「胎児超音波検査」「胎児初期精密検査」「胎児スクリーニング検査」「ベビードック」など、クリニックによって呼び方が違います。

ママのおなかに超音波をあてて、赤ちゃんの健康状態をチェックするとともに、形態異常や障害の可能性がないかを調べる診断です。

染色体疾患かどうかを確定する場合は、確定検査である絨毛検査や羊水検査を受ける必要があります。

胎児ドックの精度の高さ

胎児ドックは、一見妊婦健診で行う超音波検査と似ていますが、違うのはその精度の高さです。妊婦健診の超音波検査では、画像は白黒でぼやけており、医師の説明がないと何が映っているのか判断しづらいもの。対して胎児ドックでは、赤ちゃんの形が立体的で鮮明に確認できるので、妊婦健診では見つからなかった奇形や疾患を見つけやすいというわけです。

胎児ドックでわかることは何?

胎児ドックは、妊娠初期・中期・後期と3回に分けて検査を行います。基本的にいつでも受けることができ、妊娠週数によって確認する項目が異なるのが特徴です。クリニックによっては妊娠10週に満たなくても検査ができます。

胎児ドックでチェックできる項目は以下の通りです。

・赤ちゃんが何人いるのか

・どれくらい成長しているのか

・推定体重は何グラムか

・へその緒の血液の流れはスムーズか

・心臓は元気に動いているか

妊娠の週数ごとに確認できる項目をご紹介しましょう。

妊娠10週以下(6~10週)

出生前診断のほとんどは早くても妊娠10週を超えるまでは検査ができません。しかし胎児

ドックなら妊娠10週以下でも検査ができます。

赤ちゃんの体はまだ人間の形になりきってはいませんが、形態異常が見つかることも。妊娠10週以下で検査ができるクリニックは限られているので、希望される方は早めにクリニックを探しておくのがおすすめです。

妊娠初期(10~13週)

妊娠初期の赤ちゃんはまだ小さく観察は難しいものの、染色体異常を検出する確率が高い時期です。染色体異常がある赤ちゃんは、この時期、首の後ろや体がむくむことが多いという特徴があり、胎児ドックではっきりと確認できます。形態異常から21トリソミー(ダウン症)や13トリソミー(パトウ症候群)の可能性を知ることも可能です。

また、妊娠初期の赤ちゃんの皮膚や筋肉は未発達なので、体内の血管やへその緒の血流を確認することができます。血液の流れから、心疾患や染色体異常を見つけるという場合も。

妊娠中期(18~20週)

妊娠中期になると、赤ちゃんの臓器の形成が進むとともに体も大きく成長します。目視で体の形を確認でき、より形態異常が判断しやすくなる時期です。心臓の動きや鼻骨の形から、染色体異常、口唇口蓋裂などを調べることができます。

妊娠後期(28週以降)

赤ちゃんはさらに大きくなり、子宮に接している部分が増えてきます。すると体の表面が一部観察しにくくなることも。その代わり、脳や心臓など内部の観察はしやすくなり、妊娠中期以前まで確認しにくかった部分もチェックすることができます。主に確認するのは、心臓・脳・顔・手足・脊椎などです。とくに脳は妊娠後期にしわが刻まれてくるので、先天的な脳の異常もこの時期に確認できるでしょう。

胎児ドックのメリットとデメリット

胎児ドックを受けるメリットとデメリットをご紹介します。

胎児ドックのメリット

・流産や死産のリスクがなく、ママと赤ちゃんの負担が少ない

・その日のうちに検査結果がわかる

・赤ちゃんの姿を鮮明に見ることができる

確定検査にあたる絨毛検査や羊水検査は子宮に直接接触する検査なので、検査精度は高いものの、流産や死産のリスクを伴います。一方で胎児ドックは超音波をあてるのみ。子宮に接触することなく検査が可能です。流産リスクがなく、赤ちゃんにもママにも負担のない検査といえます。

また、通常の妊婦健診よりもはっきりとした映像で赤ちゃんの様子を見ることができるので、ママやパパにとって楽しみのひとつにもなるでしょう。成長段階によっては性別もわか

ります。産まれるまでのお楽しみにするのか、なるべく早く知りたいのかを事前に医師に相談しておくとよいです。

胎児ドックのデメリット

・NIPTや羊水検査・絨毛検査に比べて検査精度が低い

・陽性判定だった場合の心理的負担

検査精度が99%のNIPTや100%の確定検査に比べて胎児ドックの精度は低く、陽性の可能性があるかどうかまでしか診断できないのが現状です。染色体疾患かどうかをより正確に調べたい場合は、確定検査を受ける必要があります。

また、先天性異常や形態異常の可能性があると診断された場合、ママやパパの心理的負担は計り知れません。もしもの場合に備えて、遺伝カウンセリングを受けることも検討してみましょう。

胎児ドックとNIPTとの違い

胎児ドックと同じ非確定検査に分類される【NIPT(新型出生前診断)】。胎児ドックとNIPTではどのような違いがあるのか、具体的に紹介しましょう。

NIPTとはどういった検査?

NIPTとは、ママの血液内に浮遊する赤ちゃんのDNAを調べて染色体異常をチェックする検査。検査はママの採血のみなので流産リスクがなく、検査精度も99%と高いことが特徴です。出生前診断を受ける割合としてはNIPTが増加傾向にあります。

検査内容に違いはある?

胎児ドックは赤ちゃんの形態異常を目視で調べるのに対し、NIPTはママの血液から赤ちゃんの遺伝子を調べて染色体異常を調べます。胎児ドックでは、目視により染色体異常から発

生する病気を予測することは可能です。しかし形態異常が体に表れていない場合は、胎児ドックだけでは病気を発見できない可能性があります。

実施回数と料金相場

胎児ドックは妊娠初期、中期、後期の3回に分けて受けるのに対して、NIPTは妊娠10~15週までに1回受けるのみです。料金は胎児ドックで1回約2~5万円、NIPTは1回約15~21万円で、両者ともに保険適用外となっています。

全国の胎児ドックができるクリニック一覧

胎児ドックで扱う超音波機器はとても精密で、取り扱うクリニックは限られています。ここでは胎児ドックを受けることができるクリニックをいくつかピックアップしてみました。

【北海道立子ども総合医療・療育センター】

札幌市にある子ども専門の医療機関です。産科はもちろん、新生児内科や麻酔科など分娩時も安心の診療科がそろっています。

【FMC東京クリニック】

千代田区にある胎児の検査、診断をメインに行うクリニック。妊娠前の遺伝相談から妊娠中の非確定、確定検査まで網羅しています。

【森本産婦人科クリニック】

神戸市にあるアロマトリートメントが受けられるクリニック。陣痛時に芳香浴を行う、施設独自のアロマ分娩が特徴です。 【母と子のまきクリニック】

広島市にある産科、婦人科、遺伝医療を扱うクリニックです。出生前診断の実施や遺伝カウンセリングのほか、妊娠中の検査に迷う方に向けての「妊娠葛藤相談」も受け付けています。

自身に合った検査を選ぼう

胎児ドックはNIPTに比べて精度は劣るものの、妊娠中期や後期にも検査が可能です。「NIPTを受けそびれてしまった」という方は、胎児ドックで赤ちゃんの状態を確認する方法もあります。イメージが湧きにくい場合はクリニックに直接聞いてみたり、胎児ドック経験者のブログを見たりするなどして情報収集するのもおすすめですよ。

出生前診断にはさまざまな方法があります。いつ、どんな情報を知りたいのか、事前にパートナーや家族と話しあっておきましょう。

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