妊娠中に関するコラム

【2022年保険適用範囲変更も】不妊治療のステップとは?不妊症の男女別の原因や治療内容について紹介

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晩婚化が進む現代では、不妊症に悩むカップルは少なくありません。不妊治療にはいくつかのステップがあり、不妊症の原因や治療経過によりステップアップしながら妊娠を目指します。今回は不妊治療にかかる費用や不妊治療の流れ、治療内容の詳細についてご紹介。不妊症に悩む方やこれから妊活をスタートする方はぜひ参考にしてみてくださいね。

不妊治療とは

妊娠を希望するカップルが1年以上妊娠できないことを【不妊症】といいます。不妊治療とは妊娠しにくい原因を探ったり、妊娠の可能性を高めたりするためのサポートを含めた一連の流れのことを指します。

不妊治療にはステップがあり、段階的に行いながら進めるのが一般的です。不妊症の原因や妊娠率を考慮しながらステップアップしていきます。
治療をスタートさせてから妊娠までは、平均2~3年です。中には5年以上という長い時間をかけて治療する場合もあります。

不妊治療スタートの目安は、妊娠に向けて夫婦生活をはじめてから1年です。しかし1年未満でも状況によっては希望すれば治療を行えるクリニックや病院もあります。

不妊症の原因ってなに?

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不妊症の原因はさまざまで、女性男性どちらかに原因がある場合や、男女共に原因がある場合もあります。中でも、卵管因子(卵管の閉塞や狭窄癒着)、排卵因子(排卵障害)、男性因子については頻度が高く、【不妊の3大原因】と言われています。
ただし、原因不明の例も多数あるため、必ずしも原因がはっきりするとも限りません。いくつかの原因が同時に発生していることや、年齢により妊娠率そのものが低下している場合もあります。

以下では、女性の原因と男性の原因に分けてご紹介します。

●女性の原因

女性側の原因は以下の通りです。

卵巣因子:卵巣機能不全
卵管因子:感染症による狭窄癒着、閉鎖、水腫
子宮因子:筋腫、奇形、発育不全
免疫因子:抗精子抗体の産生
内分泌ホルモン異常:排卵障害、無月経
子宮内膜症

●男性の原因

男性側の原因は以下の通りです。

造精機能障害:無精子症、乏精子症、精子無力症、精索静脈瘤
精路通過障害:精路閉鎖、両側精管欠損
性機能障害:ED(勃起不全)、射精障害
内分泌ホルモン異常
先天性の形態異常

不妊治療を行うカップルの割合

厚生労働省が発行する「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」によると、2015年には5.5組に1組の夫婦が不妊に関する検査や治療を受けたことがあると記載があります。
不妊治療を受けるカップルは年々増加。不妊症の心配をしたことがある夫婦の割合は、約35%でした。(国立社会保障・人口問題研究所の2015年の報告より)また、不妊治療を経て生まれた赤ちゃんの人数は年間約5万6,000人を超えるほど(2018年)。16人に1人の赤ちゃんがあてはまる計算になります。
これらの結果から、不妊治療は今や珍しくないことだと分かります。

不妊の原因を調べる検査にはどのようなものがある?

不妊症と診断されたら、まず不妊症の原因を突き止めるための検査を行います。原因が子宮内膜ポリープや子宮筋腫、卵管狭窄・閉鎖、卵巣嚢腫などである場合は、手術に移行する可能性も。

●女性に対する検査

基礎体温・内診・超音波検査(エコー)・クラミジア検査・ホルモン検査・子宮卵管造影検査・子宮鏡検査 など

●男性に対する検査

精液検査・感染症採血・ホルモン採血

不妊治療にかかる費用ってどのくらい?

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厚生労働省が公表した「不妊治療の実態に関する調査研究」(2020年度)によると、人工授精にかかる費用の平均は約3万円、体外受精は約50万円のようです。
また、受けた検査の内容によって費用が大きく異なります。原因究明のための検査やタイミング法のみで妊娠した方は約10万円未満なのに対し、高度生殖補助医療へステップアップを経験した方は、総額100万円かかることも。中には200万円以上費やした方もいるようです。

●不妊治療の費用目安一覧

1回あたりの治療費の相場をまとめてみました。
・タイミング法…約数千~2万円
・人工授精…約1万~3万円
・体外受精…約20万~60万円
・顕微授精…約30万~70万円

●国の補助制度

2022年4月より、不妊治療における保険適用範囲が広がりました。以前までは上記のタイミング法以外はすべて【保険適用外】となっており、子供を望む夫婦にとっては金銭的負担が大きな問題のひとつでした。保険適用となる治療方法が増えたのと同時に、補助制度の対象者や助成回数も増え、赤ちゃんを迎えやすい環境が整ってきていると言えます。

不妊治療の流れ

ここでは不妊症を自覚しはじめてから、実際の治療までの流れを見ていきましょう。

1.クリニック・病院を受診する
相談内容や治療歴をクリニック・病院に伝えて、今後の治療内容について説明を受けます。

2.一般不妊検査を受ける
血液検査やクラミジア検査、ホルモン検査など、不妊症の原因を探る検査を行います。

3.一般不妊治療をスタートさせる
一般不妊治療にあたる、タイミング療法、人工授精をして経過観察を行います。

4.高度生殖補助医療へステップアップする
一般不妊治療で妊娠とならなかった場合は、高度生殖補助医療にあたる体外受精・顕微授精にステップアップします。

不妊治療のステップアップ

不妊治療にはいくつかの治療方法があります。簡易的なものからスタートして、徐々に高度な治療へとステップアップするのが一般的です。

【不妊治療のステップ】
①タイミング法
②人工授精法
③体外受精+胚移植
④顕微授精+胚移植

不妊症の検査結果によってははじめからステップを飛ばして治療する場合もあります。ステップアップの際は、治療を受ける本人の意思や経済状況を踏まえて、納得して治療を受けることが大切です。
次に、ステップをさらに詳しく解説していきましょう。

●一般不妊治療

【タイミング療法】
超音波検査やホルモン検査、血液検査等で妊娠確率が高くなる排卵日を正確に予測し、夫婦生活を行う方法。排卵日にタイミングを合わせることで、妊娠確率をUPさせます。

【人工授精】
タイミング法で妊娠成立しない場合や、精子の数・動きなどの状態を見て必要と判断した場合に人工授精法に挑戦します。排卵のタイミングに合わせて、精子を直接子宮へ注入します。とくに元気な精子を厳選し、細菌などの不純物を取り除いた状態にしてから注入することで、より効率的に妊娠することが可能です。
単身赴任などで長期間不在となるカップルでは、精子を冷凍保存してタイミングの良いときに人工授精を行う方法もあります。

●高度生殖補助医療

【体外受精+胚移植】
卵子と精子を採取し、受精させたのち、培養した受精卵を子宮に戻す方法です。ステップとしてはこの体外受精から、高度生殖医療と呼ばれます。
卵管に障害がある場合や、人工授精でも対応できないほど精子の動きが悪い場合に適した治療方法です。卵子を採取する方法は複数あり、採取方法によって自然周期法やクロミッド法、Long法などに分けられます。

【顕微授精+胚移植】
体外受精でも妊娠できない場合や、抗精子抗体が陽性である場合、精子の数が極端に少ないといったときに顕微授精へステップアップします。
顕微授精は顕微鏡で確認しながら、卵子に直接精子を注入して受精をサポートする方法です。

少しでも不安に思ったら、クリニックへ相談!

不妊治療のステップや費用面についてご紹介しました。5.5組に1組が不妊症に関する検査や治療を受けたことがあるというデータから、他人事ではないのが分かりますよね。これから妊活をスタートされる方は、心構えの1つとして不妊症について正しく理解しておくことも大切です。妊活期間が長いな、と感じたら不安を1人で抱えずにクリニックに相談してみてくださいね。

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