【妊娠中の新型コロナワクチン接種】妊婦も受けられる?その他のワクチンは?
新型コロナウイルスの感染拡大により心配な日々が続いていますね。第6波が収束しないまま、第7波に突入する可能性もあるとの見解もあり、引き続き感染対策の徹底が求められています。
ワクチン接種も感染対策のひとつ。現在、ワクチンの3回目接種が推奨されていますが、妊娠さんや妊娠を希望している方の中には、「妊娠中にワクチンを接種しても大丈夫?」、「お腹の赤ちゃんに影響があるのでは?」、「妊活中だから、ワクチン接種に踏み出せない…」と思っている方もいるのでは?そこで今回は、妊娠中・妊娠計画中の方のコロナワクチン接種についてまとめました。あわせてコロナワクチン以外の予防接種につても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
妊娠中・妊活中のコロナワクチン接種
引き続き新型コロナウイルスの影響は続いており、妊娠中・妊活中の方がいちばん気になっているのは、コロナワクチンの接種が大丈夫なのか?という点ではないでしょうか。
●コロナワクチンによる直接の影響は確認されていない
厚生労働省によると日本で承認されているコロナワクチンは、妊婦・胎児・母乳・生殖器に直接の影響を及ぼさないと考えられています。
2022年2月時点、日本で承認されているコロナワクチンは、mRNA(メッセンジャーアールエヌエー)ワクチンと呼ばれるもの。
具体的には、「ファイザー社」、「武田/モデルナ社」です。
海外で接種されているアストラゼネカ社のワクチンは、ウイルスベクターワクチンという種類が異なるもの。妊婦・胎児・乳幼児への影響に関するデータは未だ不十分な状況です。
●妊娠中・授乳中・妊娠計画中の方もワクチン接種推奨の対象
厚生労働省は、妊娠中・授乳中・妊娠を計画中の方も、時期を問わずワクチン接種を推奨しています(2022年4月時点)。以前は、妊娠12週まではワクチン接種を避けるとされていた時期もありましたが、2021年8月に日本産婦人科学会をはじめとする各種団体が「妊娠中の時期を問わず接種を勧める」と発表。
また、妊婦さん本人だけでなく、夫やパートナーのワクチン接種も推奨されています。
●妊娠後期に新型コロナに感染すると早産率が高まる可能性も
新型コロナに感染した妊婦から胎児への感染はまれ。しかし、妊娠後期に感染すると早産率が高まり、感染した本人(妊婦)も一部重症化した例が報告されています。
特に、高年齢での妊娠・高血圧・肥満・糖尿病などが新型コロナ感染症を重症化させる要因になるとの報告も。
このような背景を持つ妊婦さんは、感染予防に細心の注意を払ってください。
ここまでの内容をまとめると…
・mRNAワクチンによる直接の影響は確認されていない
・妊娠中・妊娠計画中・授乳中の方も時期を問わずワクチンを接種できる
・妊婦だけでなく、夫やパートナーのワクチン接種も推奨
・妊娠後期に新型コロナに感染すると早産率が高まるとの報告あり
となります。
コロナ以外のワクチン接種は?
新型コロナウイルスも心配ですが、その他のワクチン接種も気になりますよね。ここでは、コロナワクチン以外で妊娠中・妊娠計画中に接種可能なもの、できないものについて解説します。
●ワクチンの種類
ひとくちにワクチンといっても製造方法によって種類が分かれます。
【生ワクチン】
予防対象となる病原微生物の毒素を弱めて使用したもの。(ウイルスや細菌など)
【不活性化ワクチン】
病原体微生物の感染能力を失わせたもの。(不活化、殺菌)
【mRNAワクチン】
新しい種類のワクチンで、ウイルスを作っているタンパク質遺伝情報を使用したもの。さきほど紹介したコロナワクチンがこちらに含まれます。
●妊娠中に接種できないワクチン、できるワクチン
上記のように、生ワクチンは病原微生物をそのまま使うため、子宮内の胎児に影響を与えてしまう可能性があるのです。そのため、妊娠中生ワクチンの接種はできません。
妊娠中の方が接種できないワクチンには、以下のようなものがあります。
BCG(結核)
麻疹(はしか)
風疹
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
水痘(みずぼうそう)
黄熱
ロタウイルス
不活性化ワクチンである、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、などは妊娠中でも接種可能。前述したように、mRNAワクチンも接種できます。
とくにインフルエンザや新型コロナウイルスは、通常より免疫力が低下している妊娠中にかかりやすくなります。重症化の懸念もあり、ワクチンを接種するメリットの方が高いため、妊娠中の接種が推奨されています。
●妊活中のワクチン接種
妊娠前の場合は、生ワクチンの接種も可能です。ただ、生ワクチン接種後、避妊期間が必要な場合もあります。
たとえば、風疹や水痘は2カ月、麻疹や流行性耳下腺炎は4週間の避妊期間が設定されています。
ただし、上記の生ワクチンも胎児に対するリスクは確認されていません。もしも「妊娠に気づかないまま生ワクチンを接種してしまった!」という場合でも妊娠の継続は可能です。
●妊娠中に予防接種ができない感染症には予防が大切
さきほど紹介したように、妊娠中には生ワクチンの接種ができません。しかし、妊娠中にかかることで胎児に影響が出てしまう感染症もあるのです。
【麻疹・風疹】
妊娠中にかかることで、流産・早産を引き起こす可能性がある麻疹。また風疹は、妊娠初期(~20週)にかかると、胎児が感染を起こしてしまい、生まれてくる赤ちゃんに難聴や白内障、先天性心疾患などの先天性風疹症候群が発生する可能性が高くなります。
【水痘】
水痘は多くの人が免疫を持っているため、妊娠中の殻が発症することはあまりありません。しかし、妊娠中に水痘にかかってしまうと、水痘肺炎になってしまう危険性があります。また出産前後に水痘にかかった場合は、生まれた赤ちゃんに感染してしまう確率が高いともいわれています。
【流行性耳下腺炎】
妊娠中に流行性耳下腺炎にかかると、流産の確率が少し高くなってしまいます。胎児の先天異常、奇形などの確率は少ないといわれています。
このように、妊娠中にかかると胎児に影響が出てしまう感染症もあります。妊娠中の方は、流行時に外出を避ける、人混みに近づかないなどの予防対策が必要です。
また、夫やパートナーが麻疹・風疹にかかる可能性がある場合(抗体がない、ワクチンの2回接種を完了していない、など)、その方にもワクチン接種してもらった方が良い場合もあります。ワクチン接種の対応については、医師に相談してみてください。
妊活中の方は、妊娠前に抗体検査を受け、抵抗力が不十分な場合は早めにワクチンを接種しておくと安心です。避妊期間などもありますので、こちらも医師に相談してワクチン接種を計画してみてくださいね。
接種できるワクチンとできないワクチンを知って感染対策を!
今回紹介したように、妊娠中に接種可能なワクチン、不可能なワクチンがあります。また妊娠中にかかることで胎児に影響を及ぼしてしまう感染症については、特に注意した予防対策が必要です。
健やかな妊娠生活を送るためには、「知ること」「備えること」が大切です。正しい情報の中から自身に合う方法を選んで、対策してみてくださいね。
「プレママクリニック」は、すべての妊婦さんと産まれてくる赤ちゃんの健やかな暮らしを願っています。