妊娠中に関するコラム

新型出生前診断(NIPT)とはどんな検査?出生前診断の歴史や違いも丸わかり◎

皆さんは、新型出生前診断(NIPT)という検査を耳にしたことはありますか?「羊水検査となにが違うの?」「どんな魅力があるの?」など、実際ほかの検査との違いがわからないという方も多いでしょう。そこで今回は、新型出生前診断(NIPT)の特徴はもちろん、出生前検査の歴史やそれぞれの違いをわかりやすく解説します。検査を受けるべきかお悩みの方、出生前診断の違いが知りたい方は、ぜひ最後までお読みくださいね。

新型出生前診断(NIPT)とは?なにがわかるの?

新型出生前診断(NIPT)とは、【母体の血液を用いて、お腹の中の赤ちゃんが染色体疾患を持っているのかを調べられる検査】のことです。

具体的には、採血した母体の血液から胎児のDNA断片を分析し、染色体疾患である確率を導き出しています。

正式名称は、無侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal genetic Testing)。

またの名を「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」とも呼ばれています。

そんな新型出生前診断(NIPT)では、主に3つの染色体疾患の可能性を調べることができます。

・21トリソミー(ダウン症候群)

・18トリソミー

・13トリソミー

それだけでなく、以下の検査も可能です。

・性染色体検査

・微小欠失症検査

・全染色体トリソミー検査など

とはいえ、病院によって検査内容は異なるため、受診の際はあらかじめ調べておくといいでしょう。

新型出生前診断(NIPT)が日本に上陸したのはいつ?

まずは、出生前診断にどんな種類があるのかを知った上で、日本における出生前診断の歴史とそれぞれ特徴を見ていきましょう!

●新型出生前診断(NIPT)が広まったのは最近だった!

出生前診断は、大きく分けて2つの種類に分かれています。

1.形態異常検査:妊婦健診で受ける超音波検査(エコー検査)

2.染色体異常検査:羊水検査や新型出生前診断など

羊水検査やエコー検査は、比較的幅広い年代の方に浸透していますが、新型出生前診断(NIPT)を知らないという方も多いかもしれませんね。

なぜ知らない方が多いのか、これには理由があったのです!

日本で出生前診断が普及した年代は、以下のとおり。

1960年代:羊水検査

1970年代:超音波検査(エコー検査)

1990年代:絨毛検査、母体血清マーカー検査

2013年ごろ:新型出生前診断(NIPT)※限定施設のみ

2018年3月:新型出生前診断(NIPT)の一般診療化へ

このように、一般的に新型出生前診断(NIPT)の検査が受けらえるようになったのは、ごく最近のこと。

親世代や出産経験がある人でも「知らない」と答える人がいることもうなずけますね!

●代表的な出生前検査の特徴を歴史順にご紹介!

では、それぞれの検査にはどのような特徴があるのか、歴史順にご紹介しましょう。

羊水検査

まず普及したのが、羊水検査です。母親の子宮内から採取した羊水をもとに、染色体異常などを調べることができるようになりました。ただし、羊水を採取する際に母親のお腹へ直接針を刺すため、【胎児への接触リスク、流産・死産のリスクを伴う方法】です。

超音波検査(エコー検査)

妊婦健診で超音波検査の精度が高まったことにより、心臓・消化器・脳など形の異常を診断できるようになりました。現在の妊婦健診でも、エコー検査は導入されており、赤ちゃんの成長を確認する手段として活用されています。

母体血清マーカー

1994年ごろに母体血清マーカーによる出生前診断が海外から日本に入り、実施されるようになりました。母体血清マーカー検査とは、【母親から採血した血液から胎児の染色体異常を調べるもの】です。

新型出生前診断(NIPT)

1997年には、海外の研究者によって、母親の血漿内に赤ちゃん由来のDNAが存在することが発見されました。その後も研究が進み、母親の血液から染色体の数的以上を診断する方法が確立され、海外ではNIPTが普及していきます。

そして日本では【2013年ごろ、限定された施設でのみNIPTの検査が開始】され、【2018年3月より一般診療化】されました。

新型出生前診断(NIPT)の特徴は?

では次に、新型出生前診断(NIPT)の特徴を見ていきましょう。「母体血清マーカーとなにが違うの?」「いつから検査できるの?」という疑問について解説します!

●採血のみで検査できるため、流産や死産のリスクがない

新型出生前診断(NIPT)は、先述のとおり母親の採血のみで検査ができます。そのため、羊水検査のように流産や死産のリスクがありません。「検査をして赤ちゃんに影響があったらどうしよう」という問題点もなく、安心して受けられます。

●妊娠初期(10週0日目)から検査できる

新型出生前診断(NIPT)は、早くて妊娠初期(10週0日目)以降から検査できます。妊娠10週目から結果が変わることはないため、陰性であれば安心してマタニティライフを満喫

できるでしょう。また陽性だった場合でも、対応策を考えたり、心の準備をしたりと事前に備えることができます。

●検査の精度が高い

新型出生前診断(NIPT)は、母体血清マーカーと同様、母親の血液から赤ちゃんの染色体の異常を調べる方法ですが、なにより【陰性的中率が高い】のが特徴です。厚生科学審議会科学技術部会のデータによると、21トリソミーの検出感度は 99%超えとなっています。

受ける割合はどのくらい?誰でも受けられるの?

出生前診断を受ける割合は、年代別で見ると高齢出産でリスクの可能性がある40歳以上が多い傾向にあります。とはいえ40歳以上に限らず、20代や30代の方が受けるケースも少なくありません。

ちなみに、新型出生前診断(NIPT)の実施件数は、【羊水検査に比べて増加傾向】にあります。新型出生前診断(NIPT)の高い精度で、陰性が確認できたことにより、リスクの高い羊水検査を回避できるケースが増えているためではないかと考えられています。

では、新型出生前診断(NIPT)は誰でも受けられるのでしょうか?

現在、日本医学会の認可施設では35歳以上と定められていますが、この春(2022年)年齢制限が撤廃されるという指針が示されています。妊娠や赤ちゃんに不安がある全妊婦さんが、制限なく検査できる日は近いといえるでしょう。

新型出生前診断(NIPT)の結果は?

新型出生前診断(NIPT)の結果は、【陰性/陽性】で疾患の可能性が判断されます。

ただし、この結果は疾患の有無を示したものではありません。

なぜかというと……

新型出生前診断(NIPT)は、染色体異常検査の中の「非確定的検査」に分類されているから。わかりやすくいうと、判断が確定できない検査ということです。

精度が高い検査とはいえ、疾患の有無を見極める検査ではなく、あくまでも疾患の可能性があるかどうかの検査であるということを覚えておきましょう。

もし、新型出生前診断(NIPT)で陰性だった場合、ダウン症やほかの染色体疾患である可能性は低いため、再検査の必要はないといえるでしょう。

陽性だった場合は、羊水検査などの確定的検査を受けることをおすすめします。

新型出生前診断(NIPT)の費用は?

一般的な新型出生前診断(NIPT)の費用は、基本検査で【16万円】程度、オプション検査を実施した場合は最大約28万円と、施設によって差があるようです。

ちなみにプレママクリニックでは、以下の2セットを用意しています。

・ライト検査(染色体単体検査のいずれかひとつ):55,000円

・フルセット検査(染色体検査や性染色体検査、微小欠失検査など):110,000円

「気になる疾患だけ調べたい」「知ることのできる情報はすべて調べたい」など、希望に沿ったプランで調べることができます。

また、最寄りの検査可能な施設を探す際は、インターネットで新型出生前診断(NIPT)を実施する認定施設一覧も掲載されていますので、活用してみましょう。

新型出生前診断(NIPT)を正しく理解しよう

新型出生前診断がどんな検査なのか、ほかの検査と違いがあるのか理解できたでしょうか。「陰性だったら安心できるのかな」「ダウン症だったらどうしよう」「受けなかったら後悔するかも」「中絶も視野に入れるのかな」など、人それぞれ検査に対する捉え方は違うかもしれません。しかしながら、結果がどちらの場合でも、【知ること】に大きな価値があるのです。プレママクリニックでは、検査を受けることで、少しでも不安が解消できることを願っています。

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