妊婦健診はいくらかかる?費用が気になったら医療費控除をチェック
日本では、妊娠すると妊婦健診が当たり前となっていますよね。しかし、妊婦健診は回数も多く、つわりなどで体調が悪いタイミングに当たると通院がつらいこともあります。また、健診のたびに経済的負担がある点で厳しいと感じる方もいるでしょう。妊婦健診とは何のために受けるのか、また、費用負担を少なくするためにはどのような方法があるかをご紹介します。
妊婦健診とは?受けないといけないのはなぜ?
妊婦健診の概要と、その意義を確認してみましょう。
妊婦健診は、妊娠から出産までの期間、ママと赤ちゃんの健康状態や成長を把握するために行うものです。計14回の健診が推奨されており、検査内容や頻度は受ける時期によって異なります。
妊娠中はママの体調が変化しやすく、出産時のトラブルにつながる症状・病気に見舞われることもあります。特に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などは自覚症状がない場合もあるため、健診できちんと確認しておくことが必要です。
妊婦健診のスケジュールをチェック
妊婦健診のスケジュールと内容をチェックしていきましょう。妊婦健診の頻度は、妊娠週数が進むにつれて多くなっていきますよ。
妊娠初期~妊娠中期
妊娠初期とは、妊娠が判明してから妊娠15週あたりまで。妊娠16週から27週頃までの期間は妊娠中期と呼ばれます。
初回健診
妊娠検査薬で陽性反応が出たなど、妊娠だと気づいて初めて受診するのが初回健診です。この段階では妊娠が確定していないため、本当に妊娠しているかを調べる検査を行います。
尿検査・内診・超音波検査(エコー検査)が一般的ですが、妊娠検査薬によって陽性反応が確認できている場合、尿検査は省略されるケースが多いようです。内診と超音波検査は、膣を通じて胎嚢(たいのう/赤ちゃんが入っている袋)があるかを確認します。直径2cmほどのプローブと呼ばれる細い管を膣内に挿れて画像を映し出して行いますよ。
~妊娠23週
妊娠23週頃までは、4週間に一度のペースで健診を行います。
尿検査・内診・超音波検査の基本検査と、期間中に1回、下記の検査を行います。病院やクリニックによってエコーの回数が異なったり、4Dエコーや胎児スクリーニングを取り入れたりしている場合もあるようです。
・血液検査
・子宮頸がん検診
・性器クラミジア検査
・経腹エコー
なお、健診のペースはあくまでも目安で、流産のリスクが高い妊娠11週までは1~2週間に一度は受診するよう勧められる場合もあります。
妊娠中期~妊娠後期
妊娠中期とは、妊娠16~27週あたりまでを指します。その後、出産までの期間は妊娠後期と呼ばれます。
妊娠24~35週
妊娠24週頃になると、妊婦健診のペースは二週間に一回に変わります。いわゆる安定期にも入っているのになぜ頻度が上がるの?と思われるかもしれませんが、この時期は早産の可能性があるためです。
検査内容は、妊娠初期から行っている尿検査・内診・超音波検査が基本なのは変わりません。期間中に1回、下記の検査を行いますよ。
・血液検査
・B群溶血性レンサ球菌(GBS)
妊娠36週~出産
妊娠36週頃になると、妊婦健診のペースは1週間に一度に変わります。出産予定日の1ヵ月前からカウントされる臨月。この時期に入るといつ陣痛が起こってもおかしくないため、健診をこまめに行うことが大切だからです。
なお、臨月は医学用語ではないため病院などではあまり使われません。妊娠37~41週6日までの「正期産」の方がよく使われるようですよ。
健診では、基本検査の尿検査・内診・超音波検査が引き続き行われます。内診では子宮口のやわらかさや開き具合をチェックして出産時期の予測も行うので、あと何日くらいで生まれそうか、ソワソワする妊婦さんも多いようです。これらの検査に加えて、下記の検査も行いますよ。
・血液検査
・経腹超音波検査(エコー検査)
また、赤ちゃんの心音や子宮の収縮をチェックする検査、NST(ノンストレステスト)も行われます。ママは30~40分程横になり、これらの項目を記録していく検査です。
定期的な妊婦健診以外の検査を受けることも
妊婦健診は計14回の受診が推奨されているとお伝えしました。しかし、これ以外にも必要に応じて次のような検査を行うケースもあります。
・血糖負荷検査OGTT
血液検査で血糖値が高い場合、妊娠糖尿病でないか調べるために行う検査です。ブドウ糖を含んだ飲み物を飲み、一定時間をおいて複数回採血。その結果によって妊娠糖尿病かどうかを診断します。
・出生前診断
赤ちゃんに先天性の疾患や障害がないかを調べる検査です。定期妊婦健診で行う超音波検査も広義では出生前診断に含まれますが、このほかに、NIPT(新型出生前診断)や母体血清マーカーなどが挙げられます。胎児スクリーニングなどの超音波検査も任意で行うものであるため、自費となるケースがほとんどです。
妊婦健診でかかる費用
妊娠は病気ではないため、日本では妊婦健診は保険適用外となっています。そのため、妊婦健診の検査にかかる費用はすべて自己負担です。また、健診は推奨されていますが、自由診療となるため、健診費用は病院やクリニックによって異なります。
定期健診は自治体の補助券で自己負担がグッと抑えられる
「妊婦健診にかかる費用はすべて自己負担」と聞くと膨大な費用がかかるのでは?と心配になるかもしれませんね。しかし、各自治体では補助券が用意されているので、これを使えば自己負担額は大幅に減らせるのでご安心ください。
補助券は、母子手帳の交付と同時に各自治体から受け取れます。14枚つづりとなっていることが多く、健診のたびにこの補助券を使うことで負担額は数千円まで減らせます。費用は補助券なしとありとでは大幅に額が変わってくるので、妊婦健診が始まったら忘れず持参してくださいね。ただし補助券の金額、枚数、対象検査は自治体によるため、確認が必要です。
検査内容によっては、補助券使っても高い1万円近くの自己負担を求められることもあります。妊婦健診の二回目頃までに基本検査+追加検査を行うため、初めは費用を見て驚くかもしれません。
妊婦健診が始まると、実施施設でスケジュール表を用意してくれるケースが多いため、その際に費用の確認も行っておくと安心ですよ。
こんな検査はすべて自己負担になるので注意
14枚の補助券は、すべての妊婦健診で使えるわけではありません。初回の妊婦健診から心拍確認までは、母子手帳が交付される前なので費用は自己負担となります。高額になる可能性は低いですが、2万円程度は準備をして、余裕を持って受診するのがおすすめです。
妊婦健診の自己負担額は医療費控除の対象になる?
妊婦健診の費用は、補助券ありであったとしても毎回数千円程度。積み重なる負担は安くはありませんよね。妊婦健診の費用を安くする方法は他にはないのでしょうか。
確定申告すれば税金の還付が受けられる可能性も
妊婦健診の自己負担額は医療費控除の対象となります。確定申告の経験がある方はご存じかもしれませんが、年間の医療費が合計10万円を超えると「医療費控除」として申請でき、払いすぎた税金を還付金として受け取ることができます。
そのため、領収書や診療明細は、確定申告の時期である2月頃まで必ず保管しておきましょう。
妊婦健診以外も医療費控除対象になる費用がある
医療費控除に含まれる費用は、意外に多いもの。入院費や分娩費、赤ちゃんの入院費なども控除対象になります。通院や入院時にタクシーを使った場合はその交通費も控除対象になるため、領収書をもらっておくのがおすすめです。
また、産後の1ヵ月健診も自治体で補助があるケースも。医療費控除対象にもなっているため、もし補助券でカバーできないようであれば、医療費控除での申請を考えましょう。
一方、自家用車で通院した場合のガソリン代や里帰り出産時の移動費用、入院中の部屋やベッドの差額などは控除対象外となります。
他にも対象となる項目は複数あります。どれが控除対象で、どれが控除対象ではないか、出産前に確認しておくと手続き時にスムーズですよ。
妊婦健診はママにも赤ちゃんにも大切なもの!補助券や医療費控除をうまく使おう
妊婦健診は定期的に通院しなくてはならず、費用負担もあるため億劫に思うこともあるかもしれません。しかし、無事出産を迎えるために、ママにも赤ちゃんにも大切な検査です。次第に大きくなっていく赤ちゃんの様子が見られる楽しみもありますよ。
費用が気になったら、補助券や医療費控除の制度を調べてみましょう。国や自治体が用意している経済的サポートは最大限に使ってくださいね。