ARTを受けたらNIPTについても知っておこう!特徴やメリットをご紹介
一般不妊治療の次のステップであるART(生殖補助医療)。ARTを受けて赤ちゃんを授かったママは、NIPTを受ける流れになりやすい傾向にあります。しかし、「妊娠したらNIPT」と考えるのではなく、検査についてよく知った上で受けることが大切です。そこで今回は、ARTとNIPTについてまとめました。これからARTにステップアップ予定の方や現在治療を受けている方、ARTで妊娠した方におすすめの内容となっていますので、参考にしてください。
ARTとはどんな治療のこと?
不妊治療には、いくつかのステップがあります。まず選択される治療法が、一般不妊治療にあたるタイミング法(性交のタイミングを排卵日に合わせる方法)です。
ART(生殖補助医療)とは、妊娠成立を目的に行う、卵子・精子・胚などの取り扱いを含む治療や方法のこと。一般不妊治療の次に行うステップであるといえます。
ARTの種類にはどんなものがある?
ARTにはどのようなものが含まれるのかご説明していきます。
AIH(人工授精)
排卵の時期に合わせて、子宮内に洗浄濃縮した精子を注入する方法。子宮に直接注入することから、通常よりも受精の確率が上がります。
【人工授精が選択されるケース】
・性交障害
・精子減少症などの男性不妊
・フーナーテストの結果が不良の場合
・タイミング法を半年以上行っても妊娠しない場合など
フーナーテストは、性交後の頚管粘液を採取して、運動している精子の数を調べる検査。体調にも左右されるため、結果が不良の場合には複数回検査を行います。
場合によっては、精液検査で問題がないにもかかわらず、フーナーテストで不良という結果が出ることも。この場合に疑われるのが、精子を攻撃する抗精子抗体の存在です。抗精子抗体は頚管粘液などに存在しているため、人工授精により、抗精子抗体に攻撃されないようにすることができます。
IVF-ET(体外受精・胚移植)
卵子を採取して体外で受精(体外受精)した受精卵を、子宮内に戻す方法(胚移植)。卵子に精子を注入するのではなく、卵子と精子と共存させることで受精させます。
【体外受精・胚移植が選択されるケース】
・卵管閉塞
・男性不妊
・原因不明の不妊症
・人工授精を5~6回行っても妊娠しない場合など
凍結胚・融解移植
体外受精で得られた胚を一度凍結させて保存し、必要なときに溶かして移植する方法。専用の凍結液に浸してチップの上にのせ、液体窒素につけて凍結します。
【凍結胚・融解移植が選択されるケース】
・採卵と同じ周期に移植しない場合
・複数個の胚が得られた場合など
ICSI(イクシー:顕微授精)
状態の良い精子を選別し、顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入する方法です。体外受精の方法のひとつで、通常の体外受精では受精が成立しない場合に行われます。
【顕微授精が選択されるケース】
・高度の乏精子症や精子無力症など
・通常の体外受精で受精しない場合・着床しない場合など
男性不妊の手術
男性不妊の手術としては、TESE(精巣内精子採取術)などがあります。精巣から精子を直接回収する手術方法です。
【精巣内精子採取術が選択されるケース】
・非閉そく性の無精子症
・射精障害など
このように、ARTにはさまざまな種類があります。
ARTをめぐる現状
ARTの現状を、厚生労働省が公表するデータで見てみましょう。
2019年に生まれた赤ちゃんは865,239人。そのうち、生殖補助医療により誕生した赤ちゃんは60,598人です。つまり、全体の約7.0%、約14人に1人が生殖補助医療によって誕生していることになります。
ARTにより妊娠したママはNIPTの受検率が高い
妊活を頑張ってきたママは、自然とNIPT(新型出生前診断)を受ける流れになる傾向があります。理由として考えられるのが、ARTを受ける方の平均年齢や平均所得が高いこと。また、「子供の情報を事前に知りたい」「妊娠週数に応じた成長データなどを卵子・精子段階から常に目にしてきた」という方が多いことも、「ARTで妊娠=NIPT」となりやすい理由のひとつでしょう。
妊活を繰り返すうちに、赤ちゃんへの関心が高くなるのは当然のこと。しかし、NIPTとはどんなものか、メリットもデメリットも知った上で検査を受けることが重要です。
知っておきたいNIPTの情報
ここからは、NIPTについてご説明していきます。
NIPTってどんな検査?
NIPTは、ママの血液を用いて、赤ちゃんの染色体疾患について調べられる検査です。ママの血液中を循環する赤ちゃん由来のDNAは、妊娠週数が進むにつれて増加していきます。検査をするのに十分な量が循環するのは、妊娠10週以降。そのため、NIPT検査は妊娠10週以降に行います。
NIPTではなにがわかる?
NIPTでは、染色体の数的異常、モノソミー(通常2本で対になるはずの染色体が1本しかない状態)、トリソミー(染色体が3本ある状態)などがわかります。また、染色体の構造異常についても調べることが可能です。具体的な疾患名について、以下にまとめました。
染色体の数的異常
NIPTでは常染色体だけでなく、性別を決める性染色体の数的異常についてもわかります。
【常染色体の数的異常】
・13トリソミー(パトウ症候群)
・18トリソミー(エドワーズ症候群)
・21トリソミー(ダウン症候群)
【性染色体の数異常】(通常であれば女性はXX、男性はXY)
・ターナー症候群 (X)
・トリプルX症候群 (XXX)
・クラインフェルター症候群(XXY)
・ヤコブ症候群 (XYY)
成長障害や知的障害を起こす可能性のある多くの疾患がわかります。
染色体の構造異常(微小欠失症候群)
NIPTは、染色体の特定部分に存在する遺伝子の欠失により引き起こされる、微小欠失症候群についてもわかります。
・1p36欠失症候群
・ウォルフ・ヒルシュホーン症候群
・クリ・デュ・チャット症候群
・プラダー・ウィリー症候群
・アンジェルマン症候群
・ディジョージ症候群
このほか、検査により性別も判明します。施設によっては、13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーの検査のみの場合も。NIPTの検査項目については、各施設に確認しましょう。
NIPTのメリットは?
NIPTのメリットをご紹介します。
検査のリスクが少ない
前述のように、NIPTはママの採血のみで行える検査です。赤ちゃんを刺激してしまうといったリスクがないことが、大きなメリットといえます。出生前診断のなかには、羊水検査や絨毛検査などのように、羊水を調べるためにお腹に針を刺す必要があるものも。NIPTは、ママと赤ちゃんへの負担がなく、安全性が高い検査であるといえるでしょう。
妊娠中から赤ちゃんを迎える準備を整えられる
事前に赤ちゃんの染色体疾患がわかることで、生まれたあとのサポート体制を整えることができます。疾患について学ぶ時間がもてるだけでなく、治療できる病院や相談できる団体を探しておくことも可能です。
結果が出てすぐは、ショックを受けてしまうこともあるでしょう。しかし、妊娠10週という早い段階から検査ができるため、結果を受け入れるための時間を多くもつことができます。
NIPTのデメリットは?
次に、デメリットにはどのようなものがあるのかを以下にまとめました。
結果が「陽性」で不安になってしまう可能性もある
「NIPTを受けて良かった」というママが多い一方で、「結果でこんなに悩むなら受けなければ良かった」と考える声も。NIPTの結果は必ずしも「陰性」であるとは限りません。結果にショックを受けて、受け入れるまでに長い時間を要する可能性もあります。「陽性」の結果が出る可能性もあることを念頭に置いた上で、受検することが大切です。
疾患を確定するためには確定的診断が必要
NIPTは、あくまでもスクリーニング検査という位置づけです。つまり、NIPTでわかるのは、赤ちゃんが染色体疾患である可能性が高いか低いかということ。染色体疾患を確定する検査ではないのです。そのため、NIPTで「陽性」となり本当に疾患があるのか知りたい場合は、羊水検査などの確定的診断を受ける必要があります。
「ARTで妊娠=NIPT」ではなく検査について知った上で受検しよう
これまで妊活を頑張ってきた方は、赤ちゃんのことをくわしく知っておきたいという思いが強くなる傾向にあります。一般不妊治療からステップアップをしてARTを受けた方なら、なおさら強くそう思うでしょう。
プレママクリニックは、そんなママの思いにお応えするNIPT専門のクリニックです。妊娠10週以降の方であれば、年齢の制限なくどなたでも検査を受けていただけます。赤ちゃんのことを知りたいママは、お気軽にご相談ください。