妊娠中に関するコラム

出生前診断をどうするか悩んでいる方へ|夫婦で話し合うポイントや体験談をご紹介

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赤ちゃんを授かると、健康で生まれてくるかどうか気になりますよね。事前に疾患の可能性を知っておきたい方もいるでしょう。しかし、出生前診断を受けると決めるのは簡単ではありません。

そこで今回は、出生前診断をどうするか夫婦で話し合うポイントや、実際に受けた方の体験談を紹介します。出生前診断の種類やわかる疾患、受けるメリット・デメリットもまとめました。
出生前診断を検討中の方は、ぜひチェックしてみてください。

出生前診断とは?種類やわかること

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NIPTをはじめとする出生前診断は、お腹の赤ちゃんに先天性疾患があるかを探る検査です。まず、出生前診断の種類や検査でわかることをおさらいしておきましょう。

出生前診断の種類【5つ】

出生前診断には、以下の5つの種類があります。

【非確定的検査】
・NIPT(新型出生前診断)
・コンバインド検査
・母体血清マーカー検査

【確定的検査】
・絨毛検査
・羊水検査

非確定的検査では、胎児の先天性疾患の可能性を調べます。ただし、検査の結果「陽性」が出たとしても、赤ちゃんが必ずしも先天性疾患を持って生まれてくるとは限りません。検査感度は高いものの、より正確に疾患があるかどうかを調べるには、確定的検査を受ける必要があります。

出生前診断でわかる疾患

検査ごと、どのような疾患がわかるのか確認してみましょう。

【NIPT】
・染色体異数性(ダウン症候群、ターナー症候群など)
・染色体欠失(1p36欠失症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群など)

【コンバインド検査】
・ダウン症候群(21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18トリソミー)

【母体血清マーカー検査】
・ダウン症候群(21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18トリソミー)
・開放性神経管欠損症

【絨毛検査・羊水検査】
・染色体疾患全般

出生前診断は、主に染色体疾患がわかる検査となっています。

先天性疾患を持って生まれる確率はどのくらい?

厚生労働省が2021年に発表した「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書」によると、赤ちゃんが何らかの先天性疾患を抱えて生まれてくる確率は、約3~5%ほどと示されました。そのうちの染色体疾患はおよそ25%を占めています。もう少し深掘りしてみましょう。

染色体疾患のうち、ダウン症候群(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・パトウ症候群(13トリソミー)の3つのトリソミーが全体の約70%となっています。3つのトリソミーの中でもダウン症の確率が最も高く、出生の割合はおよそ1,000人に1人。

妊娠したら「元気な子どもが生まれてくる」と思いがちです。しかし、「先天性疾患の確率は約3~5%」や「ダウン症の割合は1,000人に1人」と具体的な数字で見ると、決して他人事ではないとわかるでしょう。

出生前診断を受けるメリットとデメリット

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出生前診断は、お腹の赤ちゃんが先天性の疾患を持っているかどうか調べる検査ということをお伝えしました。
では、事前に先天性疾患の可能性を調べると、どのようなメリットやデメリットが考えられるでしょうか。

出生前診断を受けるメリット

出生前診断を受けることで得られるメリットは、次の5つが挙げられます。

・事前に赤ちゃんの健康状態を把握できる
・疾患について出産前に情報収集できる
・出産準備や将来を見据えた予測がしやすい
・赤ちゃんの状態に合わせて出産方法を検討できる
・出産を諦めるという選択も可能

お腹にいるうちに赤ちゃんの状態を把握しておけば、万が一疾患の可能性があった場合に情報収集や準備が可能です。将来を見据えて事前に考えておくことができるでしょう。

出生前診断を受けるデメリット

一方、出生前診断にはデメリットも考慮しなければなりません。デメリットは、次の3つがあります。

・安心を求めて検査しても不安が解消しないこともある
・すべての先天性疾患がわかるわけではない
・費用がかかる

「赤ちゃんに異常がないことを確認して安心したい」と思って検査を受けても、陽性と判定されればショックや不安を感じてしまうでしょう。非確定的検査であれば、偽陰性や偽陽性の可能性も捨てきれないため、不安の解消につながらない場合も。また、1つの検査ですべての先天性疾患がわかるわけではありません。
さらに、出生前検査は保険適用外のため、高額な費用がかかります。

出生前検査を受けるには、これらのデメリットもきちんと踏まえたうえで、じっくり検討しましょう。

出生前診断を受ける前に話し合っておきたいこと

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出生前診断を受ける前に、夫婦での話し合いが大切です。気軽な気持ちで受けてしまうと、後悔してしまうかもしれません。話し合いの際には、以下の点を中心に、夫婦で意見のすり合わせをしましょう。

・そもそも出産前に先天性疾患の可能性があるかを知りたいのか
・検査の内容をしっかり理解できているか
・陽性が出た場合、妊娠の継続の有無はどうするか
・費用をどう捻出するか など

また、出生前診断を受ける際には、医師やカウンセラーといった専門家にも相談してみてください。検査について詳しく説明してもらえるとともに、疑問や不安の解消につながるでしょう。
出生前診断に関しての相談は、「遺伝カウンセリング」や「胎児ホットライン」など行えます。

ただし、検査の実施時期には注意しておきましょう。コンバインド検査は妊娠11~13週、母体血清マーカーは妊娠15~18週といったように、検査によって実施時期に制限があるのです。
もし非確定的検査で「陽性」と判定された場合、確定診断のために羊水検査を受けるとなると、検査は妊娠15~16週以降に実施されます。人工妊娠中絶手術ができるのは妊娠22週未満のため、羊水検査の結果が出てからすぐに産むか産まないかの決断をしなければなりません。

実施時期の制限や、陽性が確定してから短期間で決断を迫られることから、出生前診断を検討しているのであれば早めに夫婦で話し合っておきたいところ。実際に、妊娠前から出生前診断について話し合っている夫婦も多いようです。

出生前診断どうする?悩み抜いたママたちの声

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ここからは、出生前診断を受けたママたちの声を聞いてみましょう。どのようなことを夫婦で話し合ったのか、どういった思いがあったのかなどを紹介します。

出生前診断を受けるか、陽性が出た場合どうするかの決断が難しかった

40代の夫婦です。妊活の末、2人目を授かりました。高齢出産のため先天性疾患のリスクの高さを考え、出生前診断を受けることに。お腹の赤ちゃんが健康なのかの不安もありますが、夫婦と子どもの将来を見据えたうえでの決断です。

万が一お腹の赤ちゃんに疾患があったら…。高齢ということもあり、順当にいけば私たちが先に亡くなるでしょう。そうなったら、上の子の負担になる可能性や親族に頼らざるを得ない事態が予想されます。

「疾患を持つ子どもの育児を高齢の私たちが頑張れるのか?」「周りに負担をかけてまで出産したいのか?」といったことを夫婦で話し合いました。もし陽性が出た場合どうするのかもすでに決めています。決断を出すまで難しく、辛かったです。(Sさん)

夫が妊婦の精神状態を理解して話し合うことが大切

夫婦でとことん話し合い、出生前診断を受けました。「どうして出生前診断を受けるのか」と目的を明確にし、陽性だった場合どうするかまでしっかり考えての決断です。

話し合いの中で不満を感じたのは、夫の伝え方。妊娠初期でつわりで具合が悪く、精神的にも不安定だったため、夫の何気ないひとことにストレスを抱えていました。悪気がなくても夫に「調べてみようか」と言われると、「つわりで具合悪いのに検査に行かなきゃいけないの?」「あなたは結果を待つだけでいいね」とイライラしてしまうのです。

最終的には夫が精神状態を踏まえて話し合いを進めてくれたため、揉めずに出生前診断を受ける決断ができました。重要な検査だからこそ、妊婦の精神状態を理解し、穏やかに話し合えるといいのではないでしょうか。(Tさん)

受けるか受けないかを一人で決めない

出生前診断を受けるのか受けないのか…決断を出すまでかなり苦しみました。
悩み始めたきっかけは、出生前診断の希望を確認する書類を受け取ったとき。妊娠当初から出生前診断を受けたいと思っていましたが、「簡単に決めていいのかな?」と疑問を持ったのです。

それから出生前診断について調べたり、体験談を読み漁ったり…。調べれば調べるほど混乱して一人では答えが出せず、夫に相談してみることに。
最初は「好きなようにしていいよ」と言っていた夫でしたが、内容や決断することの難しさから「これは一人で決められることじゃないね」と考えを改めてくれ、夫婦で時間をかけて話し合いました。

夫婦で話し合っても簡単に決断が出せることではありません。一人で考え込まず、夫婦で一緒に勉強し、どのような選択をするのかが大事だと思います。(Mさん)

出生前診断をどうするかは夫婦でしっかり話し合おう

出生前診断は事前に赤ちゃんの先天性疾患の可能性がわかるからこそ、受けるかどうか決断するのは難しいです。出生前診断について理解し、さまざまな可能性を考えなければなりません。
体験談で紹介したように、出生前診断を受けた方は夫婦でしっかり話し合っています。一人で決めず、「受けてよかった」と思えるよう夫婦で話し合う時間を設けましょう。

プレママクリニックでは、NIPTの受検前にカウンセリングを行っています。マンツーマンでNIPTの説明を行い、疑問や不安の解消に向けてサポートしていますので、安心して検査に臨んでいただけます。
NIPTの受検を考えている方は、当院も候補の1つとしてご検討くださいね。

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