妊婦健診の頻度はどれぐらい?健診頻度のスケジュールと内容を紹介
「妊娠検査薬で陽性反応が出た!」そんな喜ばしい気持ちや、不安な気持ち、プレママの皆さんはさまざまな想いで産婦人科を訪れると思います。妊娠が確定すると出産まで行われるのが「妊婦健診」です。妊娠確定から出産までの長い期間、妊婦健診はどのぐらいの頻度で行われ、どのような内容を行うのでしょうか。とくに初めての妊娠・出産のプレママは不安や疑問も多いはずです。そんなプレママのために、今回は妊婦健診のスケジュールや健診項目について解説していきます。
産婦人科へはいつ頃行くのがベスト?
妊娠に気づくきっかけは人それぞれです。微熱が続く、眠気がある、食欲がないなど身体に変化が起きる場合もありますが、生理が予定日になってもこないことで妊娠に気づく方が多いようです。生理予定日から1週間が経過しても生理がこない場合、妊娠検査薬を使用して妊娠しているかどうかを調べることができます。妊娠検査薬を試し、陽性反応が出ると妊娠している可能性が高いということになりますが、この時点では「妊娠確定」には至りません。妊娠を確定するためには、産婦人科を受診し、医師の診察を受ける必要があるのです。
妊娠週数は最終月経が来た日を「妊娠0週0日」として数えるため、生理予定日から1週間後はすでに妊娠5週ということになります。妊娠の確定を得るには、妊娠5週目の後半~妊娠6週目がよいでしょう。
これよりも早い時期に受診すると、お腹の赤ちゃんが小さすぎるため赤ちゃんを包む部屋である「胎嚢」の確認ができない場合があるからです。一方で遅すぎる受診だと、万が一、異所性妊娠などの異常妊娠だった場合に手遅れになる恐れもあります。
妊婦健診の目的は?行かないとどうなる?
「妊娠は病気じゃない」など、耳にすることもあるでしょう。「妊婦健診にわざわざ行かなくても、痛みや出血などがなければ問題ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。妊婦健診をする意味や目的は何でしょうか?また、妊婦健診に行かなかった場合には、どのようなことが想定されるのでしょう。
ママと赤ちゃんの状態を確認することが目的
妊娠は基本的には病気ではなく、多くは正常に経過していくものです。ただし、妊娠の経過では何らかの異常が発生してしまう恐れもゼロではありません。妊婦健診は、妊娠が正常に進んでいるかを、さまざまな項目から調べる目的があるのです。万が一、母体や赤ちゃんに異常が見つかった場合でも、早期に発見して適切な処置を施すことができます。
また、妊婦健診は赤ちゃんがどれくらい発育しているかを確認するためにも意義があるのです。
未受診の場合に想定されるリスクとは
妊娠中はさまざまな合併症にかかるリスクがあります。妊娠中の異常は、必ずしも痛みや出血が伴うものばかりとは限りません。妊婦健診を受けていないと、自覚症状がないまま妊娠中にかかりやすい病気に罹患していたり、合併症を引き起こしたりしている恐れもあるのです。妊婦健診を受けていれば、これらを早期に発見できリスクを軽減させることができます。
また、適切な妊婦健診を受けていないと、出産時に受け入れてもらえる病院が見つからないケースもあるのです。この背景には、健診で感染症の有無を調べていないがゆえに、周囲への感染のリスクなどを考慮し受け入れできないという理由があります。安心・安全な出産をするためにも、妊婦健診は必ず受けるようにしましょう。
妊婦健診のスケジュールと健診項目
妊婦健診の健診回数や健診内容については、厚生労働省が標準的なスケジュールを設定しています。健診項目は、「毎回共通する基本的な項目」と、「必要に応じて行う医学的検査」にわけられていますが、「必要に応じて行う医学的検査」の内容は、各医療機関の方針や妊婦さんと赤ちゃんの健康状態によって差が生じるものだとお考えください。
ここでは、あくまでも標準的なスケジュールをご紹介していきます。
妊婦健診で毎回共通する健診
妊婦健診は妊娠週数が進むにつれて、内容も変わってきますが、妊娠初期から妊娠中期、妊娠後期のすべての期間を通して共通して行う基本的な項目があります。
健康状態の把握
妊娠の週数に応じて問診や診察を行います。
検査計測
妊婦さんの健康状態、赤ちゃんの発育状態が良好かどうかを確認するため、さまざまな検査、計測を行います。
検査項目は、体重計測、尿検査(糖・蛋白)、血圧測定、浮腫チェックなどです。子宮底長や腹囲の測定も行われます。妊娠中に気をつけたい疾患である、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群。これらの予防や早期発見につなげるためにも、上記の検査や計測は毎回行われるのです。
保健指導
妊娠中の食生活に関するアドバイスや、妊婦さんの不安や疑問に応えるなど精神的なケアを目的としています。また、経済的に困窮している、家庭での問題を抱えているなど支援が必要な妊婦さんに対しては、市区町村の保健福祉のサービスが受けられるよう手助けをするなど、個別で対応するケースもあるのです。
妊婦健診【妊娠初期~23週】
妊娠がわかり初診を受けてから、およそ妊娠23週ごろまでの健診について解説しましょう。妊娠初期から妊娠中期(妊娠6か月)頃にあたります。病院の方針や妊娠経過にもよりますが、この時期のエコー検査は、初回から妊娠11週ごろまでは経膣エコー、12週からは経腹エコーでの診察になるケースが多いです。
【妊娠初期~23週】の健診頻度
この時期の妊婦健診の頻度は4週間に1回となっています。しかし、実際には赤ちゃんの心拍を確認するまでは週に1回の健診となるケースも多いです。また、出産予定日は最終月経日や赤ちゃんの頭殿長(頭からお尻までの長さ)によって決定されますが、出産予定日が確定するまでは頻繁に受診する必要もあります。そのほか、母体に気になる所見がある、双子など多胎妊娠のケースでは、とくに妊娠11週ごろまでは週1回~3回の頻度で健診へ行くケースも珍しくはありません。
【妊娠初期~23週】の健診項目
妊娠初期~23週のころの健診内容を見ていきましょう。
血液検査
血液型、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体などを調べます。感染症の抗体を調べ、母体から赤ちゃんへ感染しないようにする目的があります。
子宮頸がん検診
初期に1回行われます。細胞を採取して調べる方法です。
超音波検査
期間内に2回と定められていますが、病院や妊婦さんの状態、赤ちゃんの発育に応じても変化します。
妊婦健診【妊娠24週~35週】
妊娠中期から後期にあたる妊娠24週~35週の健診についてはどうでしょうか?この時期は、一般的に安定期と呼ばれる時期を含みますが、妊婦健診では引き続き妊婦さんと赤ちゃんの様子をくまなくチェックしていきます。
【妊娠24週~35週】の健診頻度
この時期の妊婦健診の頻度は2週間に1回となっていますが、仕事をされている妊婦さんなどは、妊婦健診の頻度が多いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。「初期に比べると流産の可能性も減るし、経過も良好なのに…」と思いがちですが、この時期は早産の可能性が出てくるケースもあります。母体に出産の兆候が出てないか、赤ちゃんに異常が見られないかを、より間隔を縮めて妊婦健診を2週に1回としているのです。
ただし、この時期の妊婦健診についても、病院の方針や妊娠経過によってさらに短期間での受診が必要な場合もあります。
【妊娠24週~35週】の健診項目
妊娠24週~35週に行われる主な健診内容について触れていきましょう。妊娠初期~妊娠23週の場合と同様に超音波検査は行われます。
血液検査
主には血算と血糖を調べる検査内容です。血算は貧血かどうかを調べ、血糖は妊娠糖尿病になっていないか、なる可能性がないかを明確にするために調べます。
B群溶血性レンサ球菌検査
おりものを採取し、培養して行う検査で、期間内に1回行われます。GBSとも呼ばれる菌で、実はそう珍しい菌ではありません。しかし、出産時期近くに膣や肛門付近にこの菌がいると、出産時に赤ちゃんに感染する恐れがあります。万が一、赤ちゃんに感染してしまうと敗血症や肺炎などを引き起こすケースもあるのです。検査により母体に陽性反応が出たとしても、抗生物質を投与しながらの出産が可能なので、事前に検査しておくことはとても有意義です。
血液検査(HTLV-1抗体検査)
妊婦さんがHTLV-1のキャリアかどうかを調べる検査で、30週までに行います。母親がHTLV-1に感染している場合、母乳を介して赤ちゃんに感染してしまう恐れもあるため、事前の検査が必要です。万が一、血液検査で陽性が出た場合は、精密検査に進みます。
性器クラミジア検査
妊娠30週までに行う検査で、子宮頚管の表皮細胞を採取して調べます。クラミジアに感染している妊婦さんから生まれた赤ちゃんには、結膜炎や咽頭炎、肺炎が起きる可能性もあるため、陽性の場合は出産までに適切な処置を施す必要があるのです。
妊婦健診【妊娠36週~出産まで】
妊娠後期である妊娠36週~出産までの妊婦健診については、血液検査や尿検査、体重や血圧の測定など基本的には変わりません。ただし、出産を目前に控え、健診頻度は変わってきます。
【妊娠36週~出産まで】の健診頻度
妊婦健診は週に1回の頻度で行うようになります。いつ出産してもおかしくない状況でもあるので、出産への兆候を見逃さないためにも必ず受診しましょう。
【妊娠36週~出産まで】の健診項目
血液検査や超音波検査はこれまでと同様に行い、引き続き妊婦さんと赤ちゃんの経過を注意深く見ます。出産が近づくと、さらに以下のような検査も追加されます。
ノンストレステスト(NST)
赤ちゃんの心拍と妊婦さんのお腹の張り具合を調べる検査です。妊婦さんの腹部にセンサーをつけて計測します。出産が近づくと子宮収縮が始まりますが、子宮収縮に伴って赤ちゃんが元気のない様子にならないかを確認するのです。
妊婦健診の費用は高い?
ここまでに、妊娠初期から出産までの健診のスケジュール、の内容についてお伝えしてきました。病院や妊婦さん、赤ちゃんの状態にもよりますが、健診の回数は全部で14回程度になります。これだけの回数にわたり受診するとなると、気になるのが費用面ではないでしょうか?そんな不安を軽減する制度についてお伝えしましょう。
妊婦健診は補助券が使える!
妊婦健診の費用は、初診が10,000円前後、2回目以降は平均で5,000円~7,000円ほどかかるといわれています。さらに、適宜受ける検査の費用もかかるため、妊婦健診だけでトータルして7万~10万円近くかかるのです。
これだけかかるとお金の不安もありますが、実は「妊婦健診費の助成」という制度が設けられています。この制度は自治体が健診の一部を負担してくれるものであり、基本的には14回の助成が受けられます。
妊婦健診の補助券をもらうには?
市区町村によって異なる場合もありますが、多くの場合は妊娠届を提出し母子手帳をもらう際に一緒に受け取れます。補助券(受診券)の形で綴りになっていることが多いです。
妊婦健診は補助券はいつから使える?
妊婦健診の補助券は、妊娠届を出して母子手帳をもらう際に手にすることができます。初回の妊婦健診では、まだ心拍の確認ができないことも多く、医師からはまだ母子手帳をもらう指示が出されないでしょう。したがって、初回の健診は補助券が使えません。受診の際は2万円ほどの現金を持参すると安心です。
妊婦さんの受診のタイミングにもよりますが、2回目以降の診察で、かつ補助券をもらっていれば使用が可能ということになります。
補助券は住民票のある自治体から発行されるため、里帰り出産や妊娠中の引っ越しなどがあった場合では、そのほかの手続きが必要となることもあります。各自治体によく確認してみましょう。
妊婦健診の頻度は時期によって違いが!どの時期も必ず受診を
妊婦健診の頻度は妊娠中のどの時期にあたるかで、受診する頻度が異なります。どの健診項目も、妊婦さんと赤ちゃんが順調に出産に臨めるようにするための大事な内容です。妊婦を受けていないと、赤ちゃんが感染症にかかってしまう恐れや、そもそも出産する病院が見つからないという事態に陥るリスクも想定されます。
自治体からは妊婦健診の補助券や受診券が発行されるので、安心して、必ず妊婦健診を受けてくださいね。