妊娠中に関するコラム

出生前診断の種類やメリット・デメリットは?NIPTを受検する前にチェック

出典:photoAC

「出生前診断」と呼ばれるものには複数の種類があり、NIPT(新型出生前診断)もそのひとつです。NIPTの普及により情報に触れられる機会は多くなりましたが、他の出生前診断との違いは十分に理解できているでしょうか。出生前診断を受ける際には、複数の種類の検査についてしっかり把握したうえで自分に合った方法を選択していくことが大切です。ここでは、出生前診断の種類やその内容について、メリットやデメリット、費用面などから比較していきます。

出生前診断とはどんな検査のこと?

出生前診断とは、広い意味では“出生前の赤ちゃんの状態を調べるすべての検査”を指します。そのうち、妊婦健診で行われる通常の超音波検査(エコー検査)を除くものが、狭義の出生前診断です。

出生前診断の種類

通常の超音波検査以外の出生前診断は、確定的検査・非確定的検査と呼ばれますが、それぞれは侵襲性(※)の有無によって分かれているともいえるでしょう。また、画像検査のスクリーニング検査などでも、検査内容によって侵襲性の有無が生じます。ここでは、出生前診断の種類について侵襲性の有無に分けて見てみましょう。

※侵襲:身体の内部環境を乱す可能性がある刺激のこと。投薬・穿刺・切開・放射線照射など、対象者の身体または精神に傷害や負担が生じることを指す。

確定的検査/侵襲的検査

一般的に「確定的検査」と呼ばれる出生前診断は、母子にリスクを伴うことから「侵襲的検査」となっています。赤ちゃんの疾患の有無などを確定させることから、確定的検査といわれることが多いです。

羊水検査

妊娠15~16週以降に、ママのお腹に針を刺して羊水を採取。その羊水を分析し、赤ちゃんの染色体異常の有無を診断します。流産や死産などのリスクが1/300あるといわれる検査です。

絨毛検査

妊娠11~14週頃に、羊水検査と同じくママのお腹に針を刺して行う検査です。胎盤の中の

絨毛細胞を採取し、赤ちゃんに染色体異常があるかどうかを診断。流産や死産などのリスクが1/100あるといわれています。

一部の画像検査

画像検査の中には、侵襲的検査に分類されるものも。とくに、赤ちゃんの特定の臓器の形態、機能の異常を調べるものが侵襲的検査に含まれます。スクリーニング検査などと呼ばれる検査のうち、このような異常を見つける目的で行う検査は該当するでしょう。まだ実施数は限られていますが、胎児MRIと呼ばれる検査もあり、これも侵襲的検査に含まれます。

また、羊水検査や絨毛検査の際も、超音波で赤ちゃんの位置を確認しながら慎重に進めていきます。この際の超音波検査も、侵襲的検査に含まれるでしょう。

非確定的検査/非侵襲的検査

確定的検査に対し、「非確定的検査」は母子へのリスクがほとんどないことから、「非侵襲的検査」になっています。赤ちゃんの疾患の有無の可能性を調べる検査です。非確定的検査と呼ばれることが多くなっています。

母体血清マーカー

妊娠15~17週の間に、ママの採血によって行う検査です。赤ちゃんに21トリソミー、18トリソミー、神経管閉鎖障害の可能性があるかどうかが分かります。

NIPT

妊娠10週以降に、ママの採血によって行う検査。赤ちゃんに21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性があるかどうかが分かります。

一部の画像検査

画像検査の中でも、染色体異常に対する検査を行うものは非侵襲的検査に分類されます。胎児スクリーニングと呼ばれる検査のなかでも、赤ちゃんのNT測定(首のむくみの測定)や鼻骨の有無などが該当します。

出生前診断のメリット・デメリット

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数ある出生前診断のメリットやデメリットを確認していきましょう。メリット・デメリットも理解したうえで受けるべきか悩んだ場合は、専門のクリニックで相談するのもひとつです。受けなかったことに後悔を感じる前に、まずは情報や気持ち整理するために専門家を頼ってみましょう。

出生前診断のメリット

出生前に赤ちゃんの状態が分かるため、ママや家族は「生まれるまで分からない」という不安から解放されます。もし検査の結果が陽性で、何らかの疾患の可能性が判明した・診断がおりた場合も、事前に心の準備ができるのは大きいでしょう。また、出生後の治療や育児についても早めに情報を得て備えられます。

出生前診断のデメリット

出生前診断は費用が高いという点が最大のデメリットではないでしょうか。保険適用外、医療費控除の対象外であるため、経済的負担を伴います。

また、出生前診断の結果、陽性だと分かった場合は少なからず中絶を選ぶケースが出てくる可能性も…。この点は出生後の治療など経済的負担もあり、ご夫婦の事情もあるため、デメリットと言い切れないグレーな部分ではあります。

出生前診断の費用

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出生前診断のデメリットのひとつとして挙げた費用。各検査、どの程度の費用相場なのかをまとめました。クリニックやプラン内容によって差はあるため、あくまで参考としてご覧ください。

確定的検査/侵襲的検査の費用相場

【羊水検査:10万~20万円】

診断を確定させるための検査なので、高額な費用が発生します。なお、母子にリスクを伴うことから、非確定的検査を受検した結果次第で、羊水検査を受けるか判断するケースが一般的です。

【絨毛検査:10万~20万円】

羊水検査同様、高額な費用が発生します。こちらも母子にリスクを伴うことから、非確定的検査の受検後、絨毛検査を受けるか判断することが多いようです。

非確定的検査/非侵襲的検査の費用相場

【母子血清マーカー:2万~3万円】

出生前診断の中では比較的リーズナブルではありますが、精度面ではNIPTより劣る点に注意が必要です。

【NIPT:20万円前後】

基本的な染色体検査に加え、調べたい染色体や遺伝子異常の数が増えるほど、費用は高くなる傾向にあります。

出生前診断に関する厚生労働省の資料

出生前診断については日々情報が更新されています。厚生労働省の資料(2022年2月末時点)から、出生前診断における基本的な考え方を見ていきましょう。なお、最新情報は厚生労働省公式ホームページにてご確認ください。

●出生前診断は赤ちゃんの状態を正確に知り、将来についての計画や家族の意思決定を支援する目的で行うもの。

●障害の有無にかかわらず、生きやすい社会(ノーマライゼーションに基づく)の実現のためには、一律として出生前診断を行うことは推奨しない。ただし適切な支援を受けていくため、検査の内容や選択について、出生前診断に関する情報提供は、妊娠・出産・育児において包括的に支援を行っていくことが必要。

●出生前診断を受ける場合も、正しい知識を持って受けることが大切。また、受検前後には十分な説明や遺伝カウンセリングが不可欠。その前後において、産婦人科専門医を含め専門知識を持った各分野のスタッフ等で連携し、サポートを行う必要性がある。

出生前診断の種類や内容も理解したうえで受検を判断しよう

NIPTを受ける割合は年々増加傾向にあるようです。しかし、採血のみで行える手軽さから、出生前診断について深く理解されていない方がいることも…。NIPT(新型出生前診断)とは何かということはもちろん、他の出生前診断の内容についても十分に理解したうえで受検するようにしてくださいね。結果次第では、赤ちゃんの将来やご夫婦、ご家族の人生を左右する大きな選択が伴います。迷った場合は、遠慮なく専門家を頼ってくださいね。プレママクリニックでも、お問い合わせやご質問をお受けしております。

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