妊娠中に関するコラム

NIPTでダウン症がわかったら?親になるために必要な準備・行政のサポートなどを解説

NIPT(新型出生前診断)をはじめとする出生前診断は、お腹にいる赤ちゃんについてさまざまな情報を得ることができる手段の1つです。多くの方は「赤ちゃんに異常のないことを確認して安心したい」という思いから検査を受けられますが、実際には一定の割合でダウン症(21トリソミー)陽性の判定がでます。そこで、今回はNIPTでダウン症である可能性がわかったことを想定し、親になるための準備や行政のサポートなどをまとめました。

ダウン症とは?生まれる確率は?

ダウン症とは、染色体の突然変異によって起こる染色体異常の1つです。

ダウン症の概要

正式名を「ダウン症候群」といいます。この症候群の最初の報告者である、ジョン・ラングドン・ダウン医師の名前にちなんでつけられました。

ヒトの細胞の中には通常、23対46本の染色体があり、1~22番まで番号がついた常染色体と、性別をつかさどる1対2本のその染色体が含まれています。そして、染色体の突然変異により21番染色体の数が1本多い、つまり3本存在することで発症する先天性疾患群がダウン症です。21番染色体が1本多いことから、21トリソミーとも呼ばれます。

先天性=生まれつきの染色体異常であり、現在の医療ではダウン症を予防・治療をすることはできません。また、ダウン症は病気ではなく、生まれつきの特性という捉え方が一般的です。

生まれたばかりのダウン症のある赤ちゃんの特徴

ダウン症のある人には、見た目で共通する特徴がいつくかあります。

【ダウン症のある人に見られる特徴】

・全体的に平坦な顔つき

・頭の縦幅が短い

・目が細く、つり上がっている

・目と目の間隔が広い

・舌が大きく、シワが多い

・耳の位置が低い

・首が短い

・首の後ろの皮ふがたるんでいる

・円ではなく、横に流れるような模様の指紋 など

生まれたばかりのダウン症の赤ちゃんにも、上記のような特徴がみられます。ただし、個人差があるため、すべてが当てはまるわけではありません。いくつかの所見が該当する場合にはダウン症を疑い、染色体検査で詳しく調べます。

ダウン症のある子どもが生まれる確率

ダウン症は染色体異常の中で最も頻度が高いことで知られ、ダウン症のある子どもが生まれる確率は600~800人に1人。ただし、この確率は母親の年齢によって異なります。その理由は、母親の年齢が高くなるにつれ、卵子の質が落ち、ダウン症をはじめとした染色体異常が起きやすくなるから。

実際、母親が20代の場合のダウン症の確率は1,450~1,050人に1人。対して、30代では940~110人に1人、40歳以降では100人以下に1人の割合で発生するというデータも報告されています。

生まれる前にダウン症を調べる方法

お腹の赤ちゃんにダウン症があるかどうかを調べる方法に、出生前診断があります。出生前診断には、さまざまな種類がありますが、ここではエコー検査・羊水検査・NIPT(新型出生前診断)をピックアップしてご紹介しましょう。

エコー検査

出生前診断というと、「特別なもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし一般的な妊婦健診で行うエコー検査も、お腹の赤ちゃんについて調べる出生前診断の1つです。この妊婦健診で行う超音波検査で、ダウン症の疑いがわかる場合も。

超音波検査で映し出された赤ちゃんの画像から、NT(頸部浮腫)や大腿骨が短い、心奇形などの所見があった場合には、ダウン症が疑われます。ただし、超音波検査は形態異常について調べる非確定的検査であるため、エコーでわかる確率は高くなく、診断を確定することもできません。

妊娠15~18週の間で検査を受ける羊水検査

羊水検査は、妊娠15~18週の間で行われる確定的検査です。ただし、羊水検査は一般的な妊娠検査では行われることはありません。夫婦のどちらかに染色体異常がある場合や高齢妊娠の場合、非確定的な出生前診断で陽性判定が出た場合などが羊水検査の対象となります。

羊水には胎児由来の細胞が浮遊しており、その胎児の細胞を調べることで染色体異常などを正確に調べることが可能です。ダウン症に関しては、ほぼ100%の精度。ただし、妊婦のお腹に直接針を刺して羊水を採取するため、流産・死産が約300人に1人の割合で起こるといわれています。

妊娠10週でわかるNIPT(新型出生前診断)

NIPTは、非確定的検査の1つです。母親から採血した血液だけで、ダウン症をはじめとする胎児の染色体異常を調べることができる、安全性の高い出生前診断として注目されています。また、妊娠10週以降という早い段階で検査ができることや、感度99%と検査精度が非常に高いことも特徴。特に陰性的中率が高いため、NIPTで陰性だったのにダウン症の子どもが生まれるという確率はほぼありません。

ただし、NIPT(新型出生前診断)は非確定的検査なので、診断を確定させるためには、羊水検査などの確定的検査を受ける必要があります。

ダウン症の子どもを持つ親になるために必要な準備

ダウン症のある子どもを養育するためには、ダウン症の特性をよく理解し、特性に合わせた育児をする必要があります。そのためには、行政のサポートをうまく活用することも大切です。

ダウン症の子どもの成長と健康管理

ダウン症のある子どもは、成長のスピードが緩やかという特徴があります。筋肉の発達もゆるやかなため、ハイハイやひとり歩きができる時期も遅めなことがほとんど。ただし、発達支援は必要になるものの、基本的には通常の育児と変わりありません。筋肉の発達を促したり、丁寧なコミュニケーションを心がけたりすることで、成長のスピードアップを図ることも可能です。ときには、早期の療育(※)により著しい発達がみられるケースもあります。

ただし、ダウン症は重い合併症が起こるケースもあり、注意が必要。合併症は出生時にすぐわかるものもあれば、成人してから発症するものなど多種多様です。

【ダウン症のある人に見られる合併症】

・心臓病

・糖尿病

・高脂血症

・白内障

・難聴

・甲状腺疾患

・アルツハイマー病 など

ダウン症のある子どもは自身の状態や体調変化をうまく伝えられない場合もあります。そのため、保護者が気付かないうちに病気が進行してしまうことも…。体調をよく観察し、変化がみられた場合に迅速に対応できるよう、態勢づくりをしておくことが重要です。

(※)療育…障がいのある子どもやその可能性のある子どもに対し、個々の発達や特性に応じて、成長や暮らしを多方面から支援すること

ダウン症の子どもを持つ家庭が受けられる行政のサポート

ダウン症のある子どもは、発達の遅れや合併症などがある場合がほとんど。そのため、適切な療育や通院など生涯にわたってサポートをする必要があるでしょう。日本ではダウン症のある子どもを養育するにあたって、行政によるさまざまなサポートを受けることができます。

療育手帳・身体障害者手帳…知的障がいのある人や身体障がいや、疾患などがある人が、さまざまな制度・サービスを利用しやすくすることを目的につくられた手帳。

特別児童扶養手当…知的障がいや、身体障がいがある20歳未満の児童の保護者に支給される手当。障がいの程度によって、手当の額は異なります。

障害児福祉手当…身体または精神障害のある児童に対して支給される手当。

小児慢性疾患医療助成制度…医療費が高額となる、特定の慢性疾患の治療費用を助成する制度。心疾患や消化器系疾患などダウン症の合併症も該当しています。

そのほか発達の状況に応じて、未就学児を対象とした「児童発達支援」や学齢児を対象とした「放課後等デイサービス」などを利用することも可能です。これらのサービスを受けたい場合は、各自治体の相談窓口や支援センターへ問い合わせましょう。そのほか、ダウン症関連の公益社団法人や、NPO法人などによって発信されている情報も大変有益です。ぜひご活用ください。

【その他のダウン症に関する情報・相談先】

・公益財団法人 日本ダウン症協会

・NPO法人 親子の未来を支える会

・各地域のダウン症児を持つ親の会 など

NIPTの活用で、事前に知り、備えられる

生まれた赤ちゃんにダウン症があることがわかると、ただでさえ慌ただしい育児生活の中で、ダウン症を理解し、場合によっては特別なケアを行う必要なども出てきます。これにより強い不安や緊張を感じる夫婦も少なくありません。

NIPT(新型出生前診断)を活用すれば、赤ちゃんが生まれる前にダウン症であることがわかり、育児環境を整えたり、行政サポートを受けるための準備をしたりといった具体的な備えができます。また、ダウン症がわかってから実際に生まれてくるまで時間的な余裕があるため、ゆっくりと準備が進められ、安⼼して出産に臨むことができるでしょう。

プレママクリニックのNIPTの特徴

当院「プレママクリニック」は、NIPT専門の医療機関です。「お腹の赤ちゃんについて、早く知りたい!」「検査にかけられる予算が限られている」「より多くの情報を知りたい」といった人は、ぜひ参考にしてください。

年齢制限がなく、妊娠10週⽬以降から検査可能

医療機関によっては、年齢制限やエコー検査で異常は⾒られないなどの理由により、検査を受けられなかった人もいるのではないでしょうか?

当院では、妊娠10週⽬以降であれば、年齢制限なく誰でも検査を受けることができます。

1回の通院でOK!誰でも受けやすい料金設定

当院では、染色体の13番、18番、21番のどれか1つを調べる「ライト検査」と、全染色体異数性を調べる「フルセット検査」の2つの検査プランを用意しています。検査料金は以下のとおり。

ライト検査…55,000円(税込)

フルセット検査…110,000円(税込)

ダウン症をピンポイントで調べたい場合は、ライト検査がおすすめです。

また当院は、検査結果はWeb上で確認できるため、採血をする1回のみの通院で検査が可能です。忙しい人や、コロナ禍でなるべく外出を控えたい人にも喜ばれています。

NIPTとは「知ること」と「備えること」

NIPTは、妊娠10週⽬という早い段階で、お腹の赤ちゃんの染色体異常を知ることができます。NIPTでダウン症とわかれば、生まれるまでの間に赤ちゃんを迎えるための準備も可能に。夫婦の負担軽減、そして生まれてくる赤ちゃんのケアなどのためにも、「知ること」と「備えること」ができるNIPTを活用してくださいね。

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