NIPT陽性の場合、羊水検査費用に補助金はある?使える制度や病院選びのポイント
赤ちゃんの染色体異常を調べる出生前診断の1つが、羊水検査です。新型出生前診断(NIPT)などの非確定的検査で、陽性と診断された際に次の検査として提案されることもあります。検査の特徴は、より高い確率で染色体疾患全般がわかること。しかし、出生前診断の費用の中でも決して安いとはいえない費用がかかります。そこでこの記事では、羊水検査費用の補助金の有無や使える制度などについて、くわしく紹介していきます。
羊水検査とは?
羊水検査とは、赤ちゃんの染色体異常を調べるために行う検査のこと。子宮内に針を刺し、羊水に含まれている胎児細胞の染色体を調べていきます。
新型出生前診断(NIPT)やコンバインド検査などの非確定的検査で陽性と診断されたときに、次のステップとして提案される「確定的検査」の1つです。
検査は、妊娠15~16週以降から行え、染色体疾患全般の有無がわかります。ただし、ごく一部の染色体の重複や微細な欠失は検出できないこともあるため、すべての異常や疾患の診断ができるわけではありません。
羊水検査の流れ
羊水検査は、とくに問題がなければ1時間ほどで終了する、日帰りで受けられる検査です。
検査当日は、超音波検査(エコー)で赤ちゃんの状態を確認し、お母さんのおへその下あたりから細い針を刺していきます。その後、20秒ほどかけ、約20mlの羊水を採取。再度エコーで赤ちゃんの状態を確認します。
30分ほど体を休め、母子ともに異常がなければそのまま帰宅できます。検査結果が届くのは、2~3週間後です。
羊水検査を受ける割合はどのくらい?
羊水検査は、1998年には1万件ほど実施されており、2013年には2万件近く行われました。
しかし、2016年の実施件数は1万8千件ほどにとどまっています。この結果には、新型出生前診断(NIPT)が日本でも導入されたことが関係しているといわれています。
羊水検査は、ほぼ100%と診断精度の高い検査です。一方で、針を子宮内に刺すことによる流産や破水、子宮内感染症などのリスクが懸念されています。新型出生前診断(NIPT)は非確定検査ではありますが、診断精度は99%でこうしたリスクがありません。
そのため、まずはリスクのない新型出生前診断(NIPT)を受け、陽性と診断された方が羊水検査を受ける流れが近年増えています。
出生前診断を受ける理由は、「高齢出産だから」「身近な方に染色体異常があったから」などさまざまです。出産後に先天性の染色体異常がわかった方の中には、「出生前診断を受ければよかった。事前にわかっていればある程度心の準備をしたのに……」という声もあります。
こうしたことから、出産への不安がある方は、まずはリスクのない非確定的検査を行うことが推奨されています。
羊水検査費用はどのくらい?
羊水検査の費用相場は、10万~20万円ほどです。微小欠失検査などのオプションを加えると、25万円前後になることが多いようです。検査終了後に入院が必要になった場合は、これらの費用に加えて入院費がかかります。
また、羊水から採取した胎児細胞は、2週間ほど培養して染色体異常を調べていきます。クリニックによっては、このときに用いる方法によって、金額が変動することがあるでしょう。
羊水検査に補助金はある?
2022年5月時点で、日本には羊水検査に対する公的な補助がありません。そのため、費用は全額自己負担で支払う必要があります。
さらに次の公的制度も、羊水検査では利用できないことを知っておきましょう。
医療費控除
医療費控除とは、1月1日~12月31日までの1年間で支払った医療費が、10万円を超えたときに申請できる控除のこと。妊娠中の定期検診や不妊治療費などは医療費控除の対象です。
高額な医療費がかかるときほど利用したい制度ですが、羊水検査は医療費控除の対象から外れています。
これは、「何らかの症状に対し治療を行った費用」が医療費控除の対象であるため。羊水検査の位置づけは、人間ドックや健康診断と同じく、あくまでも症状があるかどうかを調べるための費用というわけです。
ただし、健康診断であっても検査をきっかけに重病が見つかり治療が行われると、医療費控除の対象となります。同じように「羊水検査によって破水をした」など、母体への治療が必要になった場合には、対象となるケースもあるようです。こうしたまれなケースもありますが、ほとんどの羊水検査は医療費控除の対象外といえるでしょう。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関などで支払った窓口負担額がひと月の上限額を超えたときに、超えた分の金額が支給される制度のこと。入院など、短期間に高額な医療費がかかったときに利用する方が多いでしょう。
上限額は年齢や所得によって決まっており、対象となるのは「保険適用の治療」に対して患者が支払った自己負担額です。そのため、これらの保険適用外である羊水検査は、対象から外れています。
公的健康保険
国民健康保険や共済保険など、職業によって加入している保険は異なりますが、日本国民のほとんどは公的健康保険に加入しています。そのため、保険適用内の治療であれば、自己負担額は3割ほどですみます。
しかしながら、公的健康保険で対象とされているのは、保険適用内の治療費のみ。検査を目的とした羊水検査は対象から外れています。そのため、公的健康保険による補助もありません。
ただし、個々で加入している民間の保険では、対応に違いがあるようです。羊水検査で入院となった費用に保険がおりたというケースも。対応については、加入している保険会社に確認するのが確実です。
なお近年は、妊婦検査の費用給付を行う自治体も増えていますが、羊水検査は希望者のみに行われるものです。一般的な妊婦健診とは違うため、給付の対象から外れています。
羊水検査費用を抑える方法とは?
羊水検査の費用は、10万~20万円ほどかかり、その全額が自己負担です。公的な補助もないため、負担が大きな検査といえるでしょう。
しかし、出生前診断を行う病院の中には、次のように羊水検査が受けやすいような制度を設けているところもあります。費用を抑えたい方は、事前に確認しておきましょう。
確定診断費用の補助を設けている病院を選ぶ
新型出生前診断(NIPT)などの非確定的検査で陽性と診断されると、羊水検査や絨毛検査が提案されます。すでに非確定的検査にも費用がかかっているため、負担額はさらに大きくなるもの。
そこで最近では、非確定的検査を行った病院が、羊水検査などにかかる費用の一部を補助するケースが増えてきました。そのため、病院を選ぶ際には、確定的検査に対する補助の有無も確認しておきたいポイントです。
当院「プレママクリニック」でも、検査プランのオプションとして「プレママ共済」を設けています。新型出生前診断(NIPT)で陽性と診断された方を対象に、羊水検査にかかる費用を最大20万円(税込)まで補助する制度です。
羊水検査を行う可能性も想定しながら、こうした制度のある病院を選ぶと、費用負担が軽減しやすいでしょう。
クレジットカードで分割払いできる病院を選ぶ
羊水検査の費用を抑えたいときには、クレジットカードでの支払いに対応している病院を選ぶこともおすすめです。
クレジットカードを利用すれば、10万~20万円と高額な費用であっても、分割することができます。一括で支払うよりも、その月の負担を軽減できるでしょう。
羊水検査費用の補助制度がある病院を選ぶことも大切!
出生前診断の1つである羊水検査は、高い確率で染色体異常の有無がわかる検査です。新型出生前診断(NIPT)などの非確定診断で陽性と診断されると、検査を検討するよう促されるでしょう。羊水検査の目的は、治療ではなくあくまでも調べることにあるため、公的な医療費補助がありません。しかし、検査費自体は10万~20万円と高額です。費用を抑えたい方は、非確定的検査のときから羊水検査費用の補助制度がある病院を選ぶと安心ですね。
当院では羊水検査の費用は20万円補助を実施しています。そのため、ほぼほとんどの場合の実費を全額負担できるケースが多いため、その点も選ばれている理由の一つかと思います。お悩みの方はぜひご相談くださいね。