妊娠中に関するコラム

NIPTコンソーシアムとは?認可・認可外施設のメリットやデメリットも併せてご紹介

「NIPTコンソーシアム」をご存知でしょうか。これはNIPTに関する団体の名前です。NIPTについて調べていると資料提供者として画像に名前があがっていることが多いので、気になっている方もいるでしょう。今回はNIPTについてのおさらいも兼ねて、NIPTコンソーシアムとは何か、認可施設・認可外施設のメリットやデメリットについて説明します。

まず、NIPTとは何かおさらいしよう

NIPT(新型出生前診断)とは「Noninvasive prenatal genetic testing(無侵襲的出生前遺伝学的検査)」の略称です。NIPTは名前のとおり出生前診断の1種で、お腹の赤ちゃんの染色体異常を見つけることができる検査。検査に使用するのはママの血液のみ。ママの血液中には赤ちゃん由来のDNAも含まれており、そのDNAを調べることで赤ちゃんの状態を知ることができます。

ただし、出生前診断で陽性判定が出た場合、約8割のママが中絶を選んでいるといいます。

この中絶率を受けて、出生前診断は命の選別になるとして賛否両論が巻き起こっているのが現状です。

NIPTはいつ受けるの?

NIPTを受検できるのは妊娠10週から。その理由は、ママの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA量が、NIPT検査をするのに十分な量となるのが妊娠10週以降だからです。妊娠10週以前は赤ちゃんのDNA量が少なく、検査結果が正確に出ないことも。そのため、多くのクリニックが妊娠10週を目安にNIPT検査を受け付けています。

では、NIPT検査を受けるのは妊娠何週がベストなのでしょうか。NIPTは、いつまでに受けるべきという決まりはありません。ですが、もし受検を希望するのであれば、妊娠13~15週あたりには受けておくことをおすすめします。NIPTは染色体異常を確定させる検査ではないため、陽性判定が出たのち確実な結果を知りたい場合は、確定的検査である羊水検査などを受けなければなりません。羊水検査は、妊娠15週以降から受けられます。NIPT検査の結果が出るのにかかる時間は、長くて約2週間です。余裕をもって妊娠13週~15週までに受けておけば、NIPTで陽性判定が出たときもスムーズに次の検査に移れます。

NIPTで調べられる染色体疾患とは

NIPTでわかる染色体異常は主に以下の3種類です。

【パトウ症候群(13トリソミー)】

13番目の染色体が3本で1組になることで起きる疾患が、パトウ症候群です。ママが高齢になるほどリスクが高まるとされています。

・出生確率…5,000人に1人

・症状…子宮内発育不良・成長障害・摂食障害・呼吸障害

・予後…約8割の赤ちゃんは1ヵ月を迎える前に亡くなり、1年以上生きる赤ちゃんは1割未満です。

【エドワーズ症候群(18トリソミー)】

18番目の染色体が3本で1組になることで起きる疾患を、エドワーズ症候群といいます。男の子は多くの場合流産となるため、女の子の割合が多いのが特徴です。

・出生確率…10,000人または3,000人に1人

・症状…成長障害・耳介奇形・心奇形・口唇口蓋裂・摂食障害

・予後…自然流産となることが多く、出産できたとしても多くが生後間もなく死亡してしまいます。1年以上生きる赤ちゃんは1割未満です。

【ダウン症(21トリソミー)】

21番目の染色体が3本で1組となることで起きる疾患が、ダウン症です。染色体異常の中でも特に多く発症し、ママが高齢になるほどダウン症児の出生率が高まります。

・出生確率…1,000人に1人

・症状…知的障害・成長障害・筋肉の緊張低下・特徴的な顔つき

・予後…症状には個人差がありますが、多くの子どもが成人まで成長します。

出生前診断を受ける割合は?

NIPTを含む出生前診断を受ける割合は年々増加しています。2006年には出生率全体で2.6%のママしか受けていませんでしたが、2016年には約7%と10年の間に約2.4倍となりました。出生前診断が増加している理由として、高齢妊婦が増えたこと、出生前診断の認知度が上がっていることが挙げられます。

NIPTのメリットとは

NIPT検査で一番のメリットは、赤ちゃんに干渉することなく染色体調査が可能なうえ、陰性的中率が高いことです。確定的検査である羊水検査や絨毛検査は、どちらもママのお腹に針を刺して羊水や絨毛の一部を採取します。針を刺す位置は超音波で確認するものの、赤ちゃんがじっとしている保証はないので、接触するリスクも少なからずあります。また、流産や死産に至る可能性もあるのです。対してNIPTはママの採血のみなので、赤ちゃんに影響がなく、安全に検査を行えます。

また、NIPTと同様に採血で赤ちゃんの染色体異常を調べられる検査に、「母体血清マーカー検査」や「コンバインド検査」があります。どちらも安全性でいえばNIPTと変わりはないですが、注目すべきはその感度です。NIPTが感度99%であるのに対して、他の検査は80%ほど。感度の高さと安全性の高さが、NIPTのメリットといえます。

NIPTコンソーシアムとは

NIPTコンソーシアムとは、出生前診断に対して知識や経験が豊富な専門家たちが結成した組織のことです。NIPTの認可施設も数多く参加しています。NIPTコンソーシアムが行う

活動の一部をご紹介しましょう。

【具体的な活動内容】

・NIPTに関する臨床研究

・遺伝カウンセリング体制を整えるよう提言

・NIPT実施状況や検査の感度、偽陰性率などNIPTに関する調査と結果の公表

・NIPTに携わる医師や遺伝カウンセラーへの、NIPTについての情報提供

NIPTコンソーシアムの公式サイトは現在閉鎖されており、直接調査内容や結果を確認することはできません。しかし、NIPTに関するさまざまな記事や資料の中で、NIPTコンソーシアムの調査資料などが多数使用されています。

NIPTの認可施設と認可外施設の違い

認可施設と認可外施設ではどのような違いがあるのでしょうか。そもそも認可施設とは、日本医学会連合がNIPT検査を認めた施設のこと。日本医学会連合会から認定を受けていない施設を認可外施設といいます。

認可施設の検査条件

認可施設には、NIPTを行うための条件が設定されています。

・出産する際の年齢が35歳以上である

・胎児超音波検査や母体血清マーカー検査にて、赤ちゃんに異常があると診断された

・染色体異常のある子どもを妊娠または出産したことがある

・両親が均衡型ロバートソン転座を持っていて、遺伝による染色体異常の可能性がある

クリニックによって条件が異なり、医師からの紹介状が必要なところや、夫婦同伴での外来受診が必要なクリニックもあります。また、認定施設での検査項目は、ダウン症・パトウ症候群・エドワーズ症候群のみと定められています。

認可・認可外それぞれのメリット・デメリットとは

認可・認可外施設にはそれぞれメリット、デメリットがあります。項目を確認しながら、自分に合ったクリニックや病院を選ぶ参考にしてみてくださいね。

【認可施設のメリット】

・臨床遺伝専門医が在籍しているため、カウンセリングや相談ができる

・検査後のアフターフォローが手厚い

・日本医学会連合会に認められているので安心して受けられる

【認可施設のデメリット】

・35歳未満はNIPTを受けられない

・夫婦で外来受診およびカウンセリングを受けなければならない

・事前の予約や医師からの紹介状が必要

・検査項目が限られている

【認可外施設のメリット】

・年齢関係なく、誰でも受けられる

・検査項目の制限がなく、知りたい情報すべてを知ることができる

・夫婦同伴や医師からの紹介状が必要なく、最短で当日検査を受けることができる

・認定施設に比べて比較的早い段階で検査結果を受け取れる

【認可外施設のデメリット】

・カウンセリングや検査後のアフターフォローをしていない場合がある

・確定的検査である羊水検査などの手配を自分でしなければならないことがある

・臨床遺伝専門医が在籍していないクリニックがある

NIPTに対する妊婦さんの意見

厚生労働省が発表した資料によると、1,198人のママへアンケート調査を行った際の、NIPTに対するリアルな意見をまとめてみました。

・妊婦には平等にNIPTについての情報が提供された方がよい

・NIPTがもっと身近な施設で受検できるようになったら良いと思う

・もっと気軽にNIPTを受けられるようになったら良いと思う

・出生前検査を受けるか受けないかは一人ひとりの女性が判断することである

以上の項目について6~8割のママが肯定的な意見でした。

NIPT検査が受けやすくなることを、多くのママが望んでいるようです。NIPTを受ける妊娠10週前後はつわりもピークを迎える時期。遠方まで検査を受けに行くのは妊婦さんにとってはつらいことです。より身近なクリニックで検査を受けられるよう、NIPTがよりポピュラーな検査となることをプレママクリニックは願います。

不安を幸せや備える覚悟に変えよう

NIPT検査について賛否両論はあるものの、NIPTコンソーシアムのようにNIPT検査を広めようとする団体も存在します。プレママクリニックは認可外施設ですが、事実を知ることでママたちの不安を幸せや備えるための覚悟に変えようとする姿勢は同じです。すべてのママが平等に「知る権利」を持ち、より充実したマタニティライフが送れますように。

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